研究課題
心血管系の分化・形態形成と成熟機能の調節メカニズムの解明は循環器内科学の重要な課題である。転写調節因子(転写因子)は、多様なコファクター、クロマチン修飾酵素と転写複合体を作って多数の下流遺伝子群の発現調節に働き、発生シグナル・病的刺激などから伝わる生命情報を細胞・組織・個体全体の機能や形質の劇的な変化へとつなげる。遺伝子発現調節の多様性の根幹である、転写複合体形成やターゲット下流遺伝子の詳細を知ることは非常に重要である。今回、私たちが以前同定したHrt2転写因子を最初のターゲットとして選択し、新しいコファクター・下流遺伝子解析法を用いて転写因子の機能メカニズムを明らかにすることを試みる。本年度の研究において、Tandem Affinity Purification Tag融合Hrt2(TAP-Hrt2)の発現系を作製し、培養細胞系にTAP-Hrt2を発現させ、TAP精製の手技および効率の検討を行った。TAP-Hrt2は培養細胞において安定した発現を示し、Tandem Affinity Purificationによる既知の複合体形成因子の精製も可能であることが明らかになった。現在、TAP-Hrt2分子が内在型のHrt2と同様の転写因子機能を保持しているか、さまざまな実験系を用いて検討している。また、TAP-Hrt2を部位および時期特異的に発現するマウスを作製するためのシステム構築を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究において、Tandem Affinity Purification Tag融合Hrt2(TAP-Hrt2)のプラスミド発現系を作製した。様々な培養細胞系にTAP-Hrt2を発現させ、TAP精製の手技および効率の検討を行った。TAP-Hrt2は培養細胞において安定した発現を示し、既知の複合体形成因子の共精製も可能であることが明らかになった。この結果を中心に、TAP-Hrt2を部位および時期特異的に発現するマウスを作製するための情報がそろいつつあると言える。
本年度において行った培養細胞系を用いた解析を続行しながら、マウスを用いたin vivo解析を進めるためトランスジェニックマウス系の確立を試みる。さらに年度後半ではトランスジェニックマウスの検証(TAP-Hrt2の発現パターンなど)とトランスジェニックマウスを用いたin vivo環境におけるHrt2機能メカニズムの生化学的・分子生物学的解析を行う計画である。
本年度の研究と同様に培養細胞系を用いた解析を続行しながら、マウスを用いたin vivo解析を進めるためトランスジェニックマウス系の確立を試みることに研究費を使用し、後半ではトランスジェニックマウスの検証(TAP-Hrt2の発現パターンなど)とトランスジェニックマウスを用いたin vivo環境におけるHrt2機能メカニズムの生化学的・分子生物学的解析に研究費を使用する計画である。
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医学のあゆみ
巻: 237 ページ: 683-687