研究課題
1. ヒト心臓線維芽細胞から直接リプログラミングによる心筋細胞誘導の系を確立する。(1) ヒト心臓線維芽細胞の培養法、最適な遺伝子導入法、心筋分化転換の確認法など心筋細胞誘導の系を確立する基本的に我々がすでに確立したマウスでの実験系を参考に行う。心筋リプログラミング因子のスクリーニングを行うためヒト心臓線維芽細胞の培養系を確立する。方法としては心臓外科手術でカニュレーションのため取り除く心筋組織から心臓線維芽細胞を培養する。通常は破棄される組織を用いるため、患者に新たな負担を加えることはなく人権擁護上特に問題とならない。これまでの予備実験でヒト心臓線維芽細胞の培養に成功した。マウスで成功した心筋リプログラミング因子群をレンチウイルスおよびレトロウイルスを用いて導入し誘導心筋細胞を作成する。心筋分化転換の確認を行うため成熟分化した心筋細胞のみで特異的に発現する蛋白の発現を確認する。スクリーニング方法としてはもっとも定量性のあるFACSを使用できるか細胞培養条件などを検討する。これにより心臓線維芽細胞から心筋細胞への転換を網羅的に解析することが可能になる。これまでにGata4, Mef2c, Tbx5にさらに2因子を追加して心筋誘導が改善することを見出した。2. ヒト誘導心筋細胞と心筋細胞の相違を明らかにする。(1) ヒト誘導心筋細胞の詳細な遺伝子プロファイル、生理的機能を検討する心臓線維芽細胞から分化転換した誘導心筋細胞の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイ、定量的RT-PCR、免疫染色などで心筋細胞と比較検討する。また誘導された心筋細胞のCaイメージング、パッチクランプ、細胞拍動の観察などを行い、心筋細胞に特徴的な生理機能を持つか検討する。これまでに免疫染色で心筋タンパクの発現を確認した。
2: おおむね順調に進展している
心筋誘導を促進する新規因子を見出した。
ヒト心筋誘導細胞の生理機能や分子生物学的解析をすすめる。
平成24年度にヒト誘導心筋細胞をマウス心臓移植する予定であったが、ヒト検体が予定通りに集まらなかったため、細胞移植実験を来年度に繰り越すこととなった。そのため未使用額を来年度の試薬、物品費に使用する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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