研究課題
肺胞形成におけるDA-Rafの役割についてDA-Raf KOマウスを用いて解析を行った。DA-Raf KOマウス肺は生後2日(P2)までは野生型と差がないが、P14では肺気腫様になる。P2~P14までの肺胞形成について詳細に解析したところ、DA-Raf KOマウスにおいてはP5~P7における隔壁形成とalveolizationが著しく阻害され、この時期に出現する筋繊維芽細胞が認められなかった。DA-RafはII型肺胞上皮細胞で発現が認められまた正常肺胞形成過程においてDA-Raf発現が増加するとともにRas-MEK シグナルは抑制されている。一方KOマウスではRas-MEKシグナルは活性化されたままであり、肺胞形成にはDA-RafによるRas-MEKシグナルの抑制が重要であることが明かとなった。次に筋繊維芽細胞はII型肺胞上皮細胞から分化するか否かを調べる目的でII型肺胞細胞をLacZでマークしそのlineage traceを試みた。その結果P2~P5における筋繊維芽細胞はII型肺胞上皮細胞由来ではないことが確認された。またDA-RafはX染色体上にあり、♀ではX染色体がランダムに不活性化されるため肺においてもDA-Raf KO細胞がモザイク状に存在する。DA-Raf +/-マウスとX染色体上にGFPを導入したX-linked GFPマウスを掛け合わせ、DA-Raf +/-/X-linked GFP ♀マウスを解析し筋繊維芽細胞のlineageを解析したところ野生型細胞からの筋繊維芽細胞への分化も阻害されていた。このことはII型肺胞細胞がDa-Rafを欠損するとRas-MEKシグナルが活性化され、筋繊維芽細胞への分化を阻害する因子を分泌することが示唆された。今後肺胞における筋繊維芽細胞分化およびDA-Raf/Ras/MEKシグナルによって制御されている抑制因子の解析を進める。
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