研究課題/領域番号 |
23659434
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西岡 安彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70274199)
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研究分担者 |
岸 潤 徳島大学, 大学病院, 助教 (20437635)
東 桃代 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (10403750)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺線維症 / ペプチド / 吸入療法 / PDGF / 医療・福祉 |
研究概要 |
我々のこれまでの検討から、PDGF-PDGFレセプター経路の阻害にはPDGF-BBとPDGFR-βの阻害が有用であることを確認している。そこで、PDGF-BBとPDGFR-βの結合阻害活性を持つペプチドをAHB(antigen homology box)の推定法(Nat Med. 1:894-901, 1995)を用いて、コンピューター下に20種類設計し合成した。In vitroにおいてマウス肺線維芽細胞の増殖抑制活性を3H-チミジンの取り込み試験にてスクリーニングしたところ、20種類のペプチドの中で一つのペプチド(ペプチドX)に、肺線維芽細胞増殖抑制活性を確認した。本ペプチドは、PDGF-AA、FGF-2、IGFによる増殖に対しても弱いながら抑制活性を示した。またBIACORE Xを用いた表面プラズモン共鳴によるPDGF阻害ペプチドのマウスPDGF Rβ Fcとの特異結合の検討を行った。その結果、ペプチドXはPDGF Rbne-Rβ Fcと結合することが示唆された。 一方、ペプチドXの抗線維化効果についてマウスブレオマイシン肺線維症モデルを用いて検討した。C57BL/6マウスにブレオマイシン(BLM)125mg/kgをosmotic minipumpを用いて持続皮下投与(7日間)することで肺線維症モデルを作成した。まずペプチドX100gをday18から10日間腹腔内に投与し抗線維化効果を検討した。しかしながら、ペプチドXの腹腔内投与では、抗線維化効果は確認できなかった。一方、同じスケジュールでペプチドXを気管内投与し、抗線維化効果を検討した。その結果、ペプチドXの気管内投与によって、マウスBLM肺線維症における肺線維化が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、肺線維症に対して抗線維化効果のあるペプチドをスクリーニングし、医薬品としての可能性を検討することにある。まずマウスPDGF-BB分子とマウスPDGFR-βの結合を阻害するという機能をもとにAHB(antigen homology box)の推定法(Nat Med 1:894-901,1995)を用いて、コンピューター下に20種類のペプチドシークエンスを設計し、合成した。最初のスクリーニング法として、マウス肺線維芽細胞の増殖試験を用いてペプチドのスクリーニングを行った。その結果、1種類のペプチド(ペプチドX)に線維芽細胞の増殖抑制活性を確認した。そこで、マウスBLM肺線維症モデルを用いて、ペプチドXの抗線維化効果を確認したところ、ペプチドの気管内投与により、抗線維化効果が確認された。以上から、最初の目的であった抗線維化効果を持つペプチドをスクリーニングすることに成功した。しかし、抗線維化効果が十分ではない点やその作用メカニズムの解析がまだ十分ではない。全体の達成度は75%前後と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定している平成24年度からの研究計画は以下のとおりである。1)ブロッキングペプチドによるin vivoでの抗線維化メカニズムの検討(研究分担者:岸潤):マウスブレオマイシン肺線維症モデルにおいて経時的に肺組織のホモジネートを作成する。このホモジネートを用いて、PDGFレセプターのチロシンリン酸化を免疫沈降法とWestern blotting法により検討する。ブロッキングペプチド投与マウスにおけるPDGFレセプターのチロシンリン酸化阻害を検証する。in vivoでの肺線維芽細胞増殖抑制効果をKi-67染色により免疫組織学的に検討する。ペプチドを蛍光ラベルし、吸入後の肺組織での分布を確認する。2)ブロッキングペプチドを用いたマウスあるいはラット放射線肺線維症モデルによる抗線維化効果の検討(研究分担者:東桃代、研究分担者:岸潤) 3)ブロッキングペプチドの構造解析とより有効なペプチドへの改変の検討(研究代表者:西岡安彦) 4)ヒトPDGF-PDGFレセプター結合阻害ペプチドの設計(研究代表者:西岡安彦) 平成24年度には、まずin vitroの実験系にて今回同定した抗線維化ペプチドXの作用メカニズムについて詳細な検討を行いたい。具体的には、ペプチドXの作用についてPDGFR-βのシグナル伝達抑制効果をwestern blottingにて検討を行う。さらに、in vivoのモデルにおける抗線維化効果のメカニズムを増殖抑制の観点から検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は、以下の予定で使用する。ペプチド合成:¥200,000、細胞培養:¥100,000、Western blotting:¥200,000、マウスモデル¥:200,000、ブレオマイシン:¥100,000計:¥800,000平成24年度においてもin vitroの追加実験に使用するペプチドの合成あるいは細胞培養にある程度の研究費を配分する。ペプチドXの作用についてPDGFR-βのシグナル伝達抑制効果をwestern blottingにて検討を行う。さらに、マウス肺線維症モデルにおけるin vivoの抗線維化効果のメカニズムを増殖抑制の観点から検討するため、研究費の配分を予定する。
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