研究課題/領域番号 |
23659437
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
田中 知明 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (60433653)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ゲノム / TGF-β / 血管形成 |
研究概要 |
本研究の目的は、血管形成異常患者における、特定遺伝子配列の包括的検索を行う事である。対象疾患患者検体を用いて全エクソンリシークエンシングによる責任遺伝子の検索を行う。次世代シークエンサーを用いた解析は、膨大なデータが得られる事により、標的因子の絞り込みが困難であると予想される。本研究では、ターゲット遺伝子群として、約100個のTGF-β関連遺伝子群を候補とする事で、絞り込みの効率性を重視しかつ責任遺伝子を同定する事を目的としてる。 本研究にあたり、プロトコールについて埼玉医科大学倫理委員会にて審査承認済みである。同意が得られた患者検体の収集を行っている。また、全エクソンリシークエンスを行うに当り、ゲノム情報という個人情報の問題が考えられる。本研究では、個人情報保護という観点から候補遺伝子群以外の遺伝子情報を含めたゲノム情報については取り扱わず、候補遺伝子群のみの情報から責任遺伝子の探索および評価を行う。 現在までに得えられた解析データは1検体分であるが、同検体の解析データを用い特定遺伝子群に関して探索を行った。その結果、候補遺伝子として十数個の遺伝子に絞り込む事が出来た。今後はその候補遺伝子に存在すると考えられる遺伝子変異が、生物学的にどのような意義を持つのかについて、詳細な検討を行う必要があると考えている。 次年度はその候補遺伝子に対して、培養細胞を用いて In vitro における遺伝子解析を行うことで生物学的意義を明らかにし、疾患関連遺伝子として同定する事を目標とする。 また、引き続き検体収集を行い、検体が得られ次第全エクソンリシークエンス解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想された検体収集数は収集できていないため、実施計画における解析検体数を満たしていない。次年度以降も本研究計画に基づき、検体収集を引き続き努力していく。 本年度にて、患者群の検体収集と解析が可能であった1検体分のデータを得ている。現在は同結果を詳細に解析している。本研究計画として選択したターゲット遺伝子群の中に、候補遺伝子として幾つか存在する可能性が示唆されるデータは既に得られている。 従って、解析検体数は目標を達成できなかったが、データ解析及び候補遺伝子群の絞り込みに関しては、本年度の目標を達成する事が出来た為、本研究成果の達成度は、おおむね順調に進展していると思われる。 次年度を含め本研究計画時に設定した目標解析数を行えない場合も考えられる。しかし、当該年度に得たデータに基づき、詳細な解析を行い、ターゲット遺伝子群から責任遺伝子の探索を行う事が可能であると考えており、本研究成果を公表する事が可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き検体収集を行い、全エクソンリシークエンシングの解析を行う。 検体収集と平行し、得られた解析データの絞り込みにより得られた候補遺伝子群に対して、同遺伝子に対する情報を収集し詳細な検討を行う。 また、残サンプルの一部を使用し再現性の確認を行う。さらに候補遺伝子に対して、培養細胞を用いた In vitro 系における解析を行い、生物学的評価を行う。 本年度において、解析目標数の検体収集が出来なかった。本研究に該当する疾患関連患者を限定しているため、検体収集上当然の事であると考えている。本年度において解析を行う為に使用を予定していた研究費は次年度に繰越し、検体を収集次第使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度から引き続き、検体収集を継続し全エクソンリシークエンス解析を行う。 全エクソンリシークエンス解析が一般化されたため、当初の計画時よりも1検体当り15万円程度と、約1/5程度というより安価で解析が可能となった。従って、当初の計画以上の解析が可能になった。次年度も継続して収集した検体は、すべて全エクソンリシークエンス解析に使用する。 また、前年度で計画していた解析用パソコンを購入し、より詳細にデータ解析を行う。 解析と絞り込みにより特定した幾つかの遺伝子に関して、細胞株を使用した In vitro 系にて遺伝子解析を行うため、培養細胞株の購入及び遺伝子関連試薬の購入を行う。 解析検体数が少なかった場合、in vitroの実験系の結果を元に、学会発表を行い研究成果を公表する。収集検体数が予定数を得られた場合は、全エクソンリシークエンス解析を優先させる。収集検体数を超えた場合については、出来る限り全エクソンリシークエンス解析を行い、解析できなかったについては厳重に保管し、後日解析を行える様に保管しておく。
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