研究課題/領域番号 |
23659440
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
菅波 孝祥 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50343752)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | マクロファージ / C型レクチン / Toll様受容体 / 急性腎不全 / 炎症 |
研究概要 |
急性腎不全における非感染性炎症の分子機構の解明を目的として、本年度、以下の検討を行った。1.腎虚血再灌流障害における新規病原体センサー・Mincleの病態生理的意義の検討: Mincle欠損マウスに腎虚血再灌流モデルを作製したところ、野生型マウスと比較して腎機能障害が軽度に抑制された。腎障害惹起後6時間よりMincle発現の顕著な上昇が認められ、骨髄移植法により作製した骨髄細胞特異的Mincle欠損マウスではMincle発現を全く認めなかったことより、マクロファージを中心とする骨髄細胞にMincleの発現が限局していると考えられた。この骨髄細胞特異的Mincle欠損マウスにおいても、腎障害が軽減することを確認した。2.尿細管上皮細胞とマクロファージの相互作用の検討:尿細管上皮細胞株mProx24とマクロファージ(マクロファージ細胞株RAW264、腹腔内マクロファージ)を共培養したところ、種々の炎症性サイトカインやケモカインの遺伝子発現が上昇し、尿細管上皮細胞とマクロファージの細胞間相互作用が示唆された。3.腎代謝変化の網羅的解析:対照sham群、虚血再灌流6時間および24時間における代謝産物の変化を質量顕微鏡法を用いて検討した。リン脂質を中心に多彩な代謝産物を同定し、腎内の部位特異的に存在することを確認した。対照腎と比較して虚血再灌流障害では、その発現量や局在がダイナミックに変化することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mincle欠損マウスを用いて、急性腎不全における新規病原体センサー・Mincleの病態生理的意義の検討を順調に行っている。分子機構に関して、尿細管上皮細胞とマクロファージの共培養系を立ち上げた。質量顕微鏡による代謝産物の網羅的解析も予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
急性腎不全におけるMincleの病態生理的意義とその分子機構について、引き続き検討する。特に、内因性Mincleリガンドの同定を試み、新たな治療標的としての可能性を検証する。代謝産物の網羅的解析により、新たな病態制御機構の解明を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品を中心とする物品費に使用する。・分子生物学・生化学関連試薬(制限酵素等)・600,000円・実験動物関連(飼料等)・300,000円・細胞培養関連(血清等)・100,000円
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