研究概要 |
急性腎不全における非感染性炎症の分子機構の解明を目的として、腎虚血再灌流傷害における新規病原体センサー・Mincleの意義を検討した。 1.Mincle発現細胞に関する検討:骨髄移植法により作製した骨髄細胞特異的Mincle欠損マウスではMincle発現を全く認めなかったことより、Mincleは骨髄細胞にMincleの発現が限局していると考えられた。in situ hybridization法により、Mincle発現細胞の一部はマクロファージマーカーと共染した。フローサイトメーターを用いた解析により、F4/80 hiと比較してF4/80 loの分画にMincleの強い発現を認めた。一方、F4/80(-), Gr1(+)分画にも強いMincle発現を認め、好中球においてもMincleが発現すると考えられた。 2.腎虚血再灌流障害におけるMincleの病態生理的意義に関する検討:Mincle欠損マウスに腎虚血再灌流モデルを作製したところ、野生型マウスと比較して、血中BUN, クレアチニンの上昇が軽度に止まった。F4/80 mRNAの誘導はgenotype間で差を認めなかったが、interleukin-6, MCP-1 mRNAはMincle欠損マウスにおいて上昇が軽度に止まっていた。骨髄細胞特異的Mincle欠損マウスにおいても同様の結果が得られ、腎虚血再灌流傷害に伴ってMincle陽性骨髄由来細胞が腎局所に浸潤し、病態形成に関与すると考えられた。
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