研究課題
まず、腎生検でIgA腎症と確定診断された症例が4名存在する1家系(11名の末梢血からDNAを抽出)を解析対象とした。Affymetrix Human Genome-Wide SNP Array 6.0によりSNPタイピングを行い、全ゲノム領域の連鎖解析を行った。エクソーム解析はIgA腎症4名を含む8名を対象とした。全エクソン領域の塩基配列を決定し、フィルタリング(アミノ酸が非同義置換となる、1000genomes での頻度が1%以下、観察されたアレル頻度が0.3~0.7)により、IgA腎症の発症に関連するvariantを選別した。さらに選別されたvariantについて、アミノ酸機能予測プログラムで評価し、家系内のco-segregationを確認した。次に他の家系での検証のため、27家系を対象としてEEA1遺伝子の変異スクリーニングを行い、変異を有する家系においてはsegregationを検討した。全ゲノム連鎖解析では、パラメトリック解析でLODスコア>1.0を示す9領域が検出された。エクソーム解析では、全エクソンの配列情報からフィルタリングを行い、IgA腎症患者にのみ共通して認められた13個のvariantが選別された。この中でEEA1 p.F161Yは連鎖解析でLODスコアが最も高い領域内に認められた。また家系内の罹患者・非罹患者においてco-segregationが完全に一致した。さらに他の27家系についてEEA1遺伝子変異スクリーニングを行い、F161Yとは異なる変異(R1262W, N1072K, E1010G)を6家系に認め、これらは浸透率を考慮してco-segregationを認めた。日本人エクソームデータベースと比較し、EEA1遺伝子変異は家族性IgA腎症に有意に多く認められ(オッズ比 2.9)、家族性IgA腎症の原因遺伝子の一つと考えられた。
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Journal of Nephrology
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