研究課題
αクロトーの構造解析を通して、αクロトーがグルクロン酸を認識する能力を持つことを見いだし、αクロトーの分子結合能を阻害する化合物エストロングルクロン酸(EG)を樹立した。生体では、αクロトー分子はNa,K-ATPase(Naポンプ)への結合を介して細胞内リクルートに関与し、副甲状腺においてPTHの応答性分泌を制御している。そこでマウス個体にEGを投与したところ、低カルシウムに応答するPTH分泌を抑制することが判った。近年、PTH抑制薬としてCa受容体(CaR)に対するアゴニストであるシナカルセトが実用化されているが、今後、EGの薬理学的検証を通して、新規薬剤の開発が期待される。本研究は、αクロトー依存性PTH分泌機構におけるエストロングルクロン酸の作用メカニズムを解明し、薬剤作動原理の基礎データを取得することを目的とした。実際には、試験的にエストロングルクロン酸をマウス個体に投与し、低Caに対する5分間の応答性分泌特性を観察したところ、レグパラ投与や α クロトー遺伝子欠損と同様のPTH分泌抑制効果が見られた。この事実は、EGが新規原理に基づいたPTH分泌阻害薬に発展する可能性を示している。この結果に基づいて、(1)EGFP融合Naポンプとaクロトーがの結合がEGによって解離するかどうか (2)単離精製したaクロトーをBIAcoreセンサーチップに固相化し、可溶化したEGFP融合Naポンプを与えることで得られる表面プラズモン共鳴効果に対し、EGの存在がどの程度影響を与えるかを定量 (3)EGの分子作用点が解明できた考えられるので、EGの作用を強化するために、種々のderivative を作成し、マウス投与実験により、PTH阻害作用が強いものを探索 (4)クロトーのタンパク質結晶を作製し、その構造解析から、糖鎖認識ポケットの存在を確認の手順で、研究を進めた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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