研究概要 |
SUMO(Small ubiquitin-like protein)はユビキチン様蛋白質の一つで、ユビキチン化と同様な修飾システム(E1, E2, E3)により様々な蛋白質と共有結合し、翻訳後修飾システムとして働く。研究代表者はこれまでに腎尿細管トランスポーターPEPT2とSUMO-1とSUMO化結合酵素E2であるUbc9との結合、およびアミノ酸トランスポーターTAT1とSUMO-1およびE3リガーゼのPIASとの結合を見出している。本研究はSUMO化―脱SUMO化による新しいトランスポーター輸送制御機構およびPDZ結合との拮抗作用の分子機序の解明を目的とする。 今年度では昨年度の成果を元に、1. SUMO化関連タンパク質と腎尿細管トランスポーターPEPT2/TAT1との結合の分子機序の解明、を引き続き進めると同時に、2. PEPT2/TAT1の細胞内C末端を介するPDZ相互作用のSUMO化制御機序に対する影響」について以下の検討を行った。 1. トランスポーターPEPT2/TAT1の細胞内C末端領域におけるSUMO化部位の同定:PEPT2およびTAT1の細胞内C末端領域にあるψKXD/E(ψは疎水性アミノ酸)というSUMO化のコンセンサス配列がSUMO化関連タンパク質との結合に必須でるかを調べるため、同部位のLysの部位指定突然変異体を用いて、酵母Two-hybrid法による検討を行った結果、同部位の変異体では結合が失われることを見出し、同部位が結合に関与することが明らかにされた。 2. SUMO化関連タンパク質のPEPT2及びTAT1の細胞内局在変化の観察:GFP融合PEPT2及びTAT1タンパク質発現ベクターの構築後、同ベクターの哺乳類発現細胞MDCKへのトランスフェクションを行った結果、細胞内TAT1蛋白質は基底側膜に発現することを共焦点レーザー顕微鏡により確認した。
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