研究課題
血液tauの同定と測定系の開発:これまで開発した変異ヒトtauを過剰発現するTgTauP301LモデルマウスのCSFと血液を用いて,抗ヒトtau抗体(ビオチン化HT-7, BT-2)と新たに作成したヒト中枢性tauに対する抗体(tau-A,tau-B)を用いて,免疫沈降を行い血液ヒトtauの存在を同定した.ヒト血液で同様の方法を用いて中枢性,抹消性tauを同定し,質量分析解析による検証を行った.上記抗体セットによるECL法による微量ELISA測定系を開発しつつあり,我々のコホートで従来測定したヒトCSF Abeta40,Abeta42, tau値との相関を検討し,臨床的有用性を検証している.CSF α-synuclein,TDP-43の高感度ELISAの開発:CSF α-synuclein,TDP-43のELISAを作成し,ECL法による高感度測定系による微量測定を開発した.バイオマーカーの臨床的検討をAD,DLB,FTLD-TDPなどの非AD型認知症や神経変性疾患において行った.プロテオミックスによって明らかにされた28候補マーカーの臨床的検証:CSFの質量分析によって,分子量3万以上の蛋白は142種類が同定されたが,このうち28のマーカーで既に報告されているもの以外の分子に関して,弘前大学神経内科もの忘れ外来で検討してきた447例のCSF,血液および脳病理所見を用いて臨床的検証中である.ELISAシステムの入手が困難である分子については,免疫沈降/Western blotによって検討しており,結果を統計処理して,各種マーカーの有意差検定,感度と特異性の評価を行い,臨床的有用性を検討している.
2: おおむね順調に進展している
血液tauの同定と測定系の開発において,モデルマウスとヒトで血液中枢性,抹消性tauを同定した.上記抗体セットによるECL法による微量ELISA測定系を開発しつつある.我々のコホートで従来測定したヒトCSF Abeta40,Abeta42, tau値,血漿 Abeta40,Abeta42との相関を検討し,臨床的有用性を検証している.CSF α-synucleinにおいてはECL法による高感度測定系による微量測定を開発した.バイオマーカーの臨床的検討をAD,DLB,FTLD-TDPなどの非AD型認知症や神経変性疾患において既に行っている.プロテオミックスによって明らかにされた28候補マーカーの臨床的検証では弘前大学神経内科もの忘れ外来で検討してきた447例のCSF,血液および病理所見を用いてで臨床的検証中である.ELISAシステムの入手が困難である分子については,免疫沈降/Western blotによる検討しており,結果を統計処理して,各種マーカーの有意差検定,感度と特異性の評価を行い,臨床的有用性を検討している.
血液tau,CSF α-synucleinにおいてはさらに我々の各種疾患コホートのCSF,血液を用いてバイオマーカーとしての臨床的検討を続ける.疾患診断感度,特異性,発症予測性を明らかにして,臨床的有用性を検証する.これまで測定したCSF Abeta40,Abeta42, tau (AD index: Abeta40/42 x Tau)および血液 Abeta40,Abeta42測定値との相関統計解析をおこない,臨床的有用性をさらに検証する.ECL法による高感度多重測定系の立ち上げを行い,利用可能な測定キットを作成し,特許申請を行う.残りの約半数のプロテオミックスによって明らかにされた認知症疾患関連分子候補マーカーの臨床的検証をさらに進める.
TgTauP301L マウスの継続的大量飼育と常時健康状態チェックや大量のELISA,Western blotを行うために実験補助者への謝金および研究成果の発表や連携・共同研究者との研究ミーテイング開催のための,旅費と宿泊費を使用する.残りの,多くの研究費は高感度ELISA試薬,質量分析試薬,免疫染色,Western blot などの生化学的研究試薬,マウスの飼育料および論文投稿料などの消耗品に使用される.
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件)
EMBO Mol Med
巻: 4(4) ページ: 344-52
10.1002/emmm.201200214
J Pharmacol Sci
巻: 118(3) ページ: :345-9
Int J Alzheimers Dis
ページ: 564321
doi:10.4061/2011/564321.
J Neurosci Res
巻: 89(6) ページ: 815-21
doi:10.1002/jnr.22615
Mol Neurodegener
巻: 6:20 ページ: 1-16
doi: 10.1186/1750-1326-6-20
巻: 89(4) ページ: 576-84
doi: 10.1002/jnr.22572