研究概要 |
アルツハイマー病(AD)や非AD型認知症の簡便で迅速な血液・脳脊髄液バイオマーカー検査法の確立による疾患の早期診断と治療法の開発を目的として研究を進めた. 具体的には,1)血液tau, リン酸化tau (ptau)の存在を同定するために,ヒト中枢性タウ抗体(tauA/tauB)による免疫沈降法で,Tgtau P301L モデルマウスの脳脊髄液および血液にタウの代謝分画を同定したが,末梢性および中枢性両者の分画で有り,中枢性タウ特異分画の確認がさらに必要であった.今後,さらに微量な血液tau分画の検索を行う必要がある. 2)しかし,脳脊髄液および血液のα-synucleinのELISAによる同定は可能であり,ヒト脳脊髄液および血漿での測定の基礎的検討では臨床応用に十分な再現性が得られた.弘前大学物忘れ外来における各種認知症疾患と各種非認知症性変性疾患105例の測定ではAD,軽度認知障害,正常対照の順に増加しており,パーキンソンでは低下が見られた.CSFと血漿の比ではさらにこの変化が著明となっている.また,従来のCSFバイオマーカーであるCSF Abeta40,Abeta42, tauおよび血液Abeta40,Abeta42測定値ともAD,軽度認知障害で相関が見られた.TDP-43では抗体を作成中し,高感度ECL測定系の基礎的検討を行っている. 3)脳脊髄液プロテオミックスによって明らかにされた分子量3万以上のADのバイオマーカーとしての28候補は,さらにバイオインフォーマティクス解析を加えて,特許申請を行っている.
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