研究課題/領域番号 |
23659452
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / 改変GFP / 検知システム / 神経変性疾患モデル細胞 |
研究概要 |
TDP-43およびFUSを分化運動ニューロンに発現させた細胞モデルを最新のイメージアナライザによって細胞内局在を自動スキャンするシステムを開発と、TDP-43およびFUSの細胞内局在変化を生じさせるような薬剤のスクリーニング・システムの開発を目指し、NSC34細胞を分化させた後にイメージアナライザ (Arrayscan VTI system, Thermofisher社)を用いて解析する系を立ち上げた。この系ではわずかな神経突起伸長および突起の分岐数の変化をヒストグラムにすることで捉えることを可能にした。実際に、FUSをノックダウンするshRNAを誘導する系ではcontrolに比べ突起伸長および突起の分岐数の低下を認めた。同時に変異型FUSの過剰発現を誘導する細胞で検討を行うと、やはり変異FUSの過剰発現により神経突起伸長および突起の分岐数の減少を認めた。同様の系をmouse primary cortical neuronおよびmouse primary motor neuronでも構築して、現在イメージアナライザで解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過剰発現系においては野生型のFUSやTDP-43でも発現量によって毒性を発揮することが判明したために、真に疾患に有効な薬剤スクリーニングのためにはより厳密な発現量コントロールが必要と考えられた。また局在変化については変異体による違いが大きいために、神経突起伸長および突起の分岐数の変化を指標にした神経細胞機能異常を指標にしたほうが正確な機能改善を捉えることができると考え、局在変化と同時に神経突起の計測によるスクリーニングシステムを開発中である。以上の理由から研究計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定ではprimary neuronでの評価はスクリーニングの後に行う予定であったが、系がうまく立ち上がる可能性が高くなったので先にスクリーニングをprimary neuronで行うことを念頭に計画を進めていく。このことは株細胞での薬剤スクリーニングに比べて、よりin vivoに近い環境で神経機能やFUS, TDP-43の局在変化の検討をスクリーニングの段階から行うことができるメリットがある。また現在FUS、TDP-43 KOマウスを作成中であり、これらのprimary neuronを使用しlentivirusで変異体の発現を行うことで、発現量の調節が容易になりかつknock-inモデルに近い系を作成することができるので、その計画も追加し薬剤スクリーニングへと進む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
primary neuronとレンチウィルスを作成維持するための諸費用。コンパウンドスクリーニングに使用するLopac1280の購入費用など
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