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2011 年度 実施状況報告書

筋強直性ジストロフィーの神経特異的スプライシング異常と治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23659455
研究機関岡山大学

研究代表者

松浦 徹  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90402560)

研究分担者 池田 佳生  岡山大学, 大学病院, 講師 (00282400)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード筋強直性ジストロフィー / 組織特異的異常スプライシング / RNA
研究概要

2006年にAffymetrix社により開発リリースされたExon Array (GeneChip Human Exon 1.0 ST Array) は、100万以上のエクソン発現の網羅的解析を可能にするものであるが、現在発売されている4種類の商用ソフトでは、プローブのアノテーションが不完全であり解析アルゴリズムが十分検討されていないので、擬陽性が多く実用に供することができない。そこで、我々は独自にアルゴリズムを開発改良し、効率のよいスプライシング異常スクリーニングを試みた。筋強直性ジストロフィー(DM1)骨格筋とコントロールそれぞれ3例を対象とした解析で、抽出できた51エクソンのうち、RT-PCRにより 23のスプライシング異常を確認することができた。この中には既知のスプライシング異常だけではなく、新規のスプライシング異常も含まれた。更に解析ツールの開発と改良に努力を重ねる予定である。同様にDM1剖検脳、及び、疾患コントロールよりtotal RNAを抽出し、BioanalyzerによりRIN値を測定しRNAの品質を確認した後 (RNA Integrity Number (RIN) >7のものだけをアレイに供与する) それぞれ3例ずつ選び出し、Affymetrixのプロトコールに従いExonアレイ解析 (GeneChip Human Exon 1.0 ST Array)を行い、網羅的に異常スプライシングを検索した。RNA抽出部位はDM1で病変が強いとされる側頭葉皮質として、現在解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DM1骨格筋を用いて、我々はエキソンアレイの解析アルゴリズムを独自に開発改良し、効率のよいスプライシング異常スクリーニングに成功した (Four parameters increase the sensitivity and specificity of the exon array analysis and disclose twenty-five novel aberrantly spliced exons in myotonic dystrophy. J Hum Genet 2012 in press)。

今後の研究の推進方策

Exonアレイ解析ツールで予想された標的遺伝子の異常スプライシングを、DM1患者脳RNAとコントロールを用いてRT-PCR, real time RT-PCRで確認する。その後異常スプライシングバリアント全長cDNAをクローニングし、wild type (WT) のそれと比較することで、その機能異常解析をする。異常スプライシング遺伝子同定前の現時点でその解析を予測することは困難であるが、例として、GFP・dsREDとの融合タンパクを作り、細胞内局在・細胞内動態の差を共焦点レーザー顕微鏡で観察したり、既知の生体内結合タンパクを指標として免疫沈降法でその親和性の差を検出する。異常スプライシングを受ける標的遺伝子エクソンのミニジーンと共に950CUGリピート強制発現ベクターをSH-SY5Y細胞に共発現し、スプライシング異常の再現後各種薬剤の影響をRT-PCRにより調べる。神経変性疾患治療の目的で、NIH/NINDSにより用意された1040種類のFDA既認可薬 (Heemskerk et al. Nature Neurosci 5: 1027, 2004) 10μM存在下に48時間培養し、RT-PCRで効果を検討する。

次年度の研究費の使用計画

効率良いスクリーニングに成功したが、更なるExon Array解析ソフトの結果の検証にRT-PCRとreal time RT-PCRが必須であり、更にtransfection試薬などの分子遺伝学試薬も要する。また、FDA既認可薬1040種類を集めたNINDS custom collection IIなどの消耗品も必須であり、さらに、解析を進める上で個別に薬剤を購入する必要がある。研究成果の発表と研究情報を得るためへの国内学会および国際学会への参加を行う。研究の遂行及び支援を行う研究補助を雇用する。まとめられた研究成果は論文別刷りの印刷をもって発表する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Four parameters increase the sensitivity and specificity of the exon array analysis and disclose twenty-five novel aberrantly spliced exons in myotonic dystrophy.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Y, Matsuura T, Shinmi J, Amakusa Y, Masuda A, Ito M, Kinoshita M, Furuya H, Abe K, Ibi T, Sahashi K, Ohno K.
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics

      巻: 57 ページ: 368-374

    • DOI

      10.1038/jhg.2012.37.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Myotonic dystrophy type 2 (DM2) is rare in the Japanese population.2012

    • 著者名/発表者名
      Matsuura T, Minami N, Arahata H, Ohno K, Abe K, Hayashi YK, Nishino I.
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics

      巻: 57 ページ: 219~20.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expansion of intronic GGCCTG hexanucleotide repeat in NOP56 causes a type of spinocerebellar ataxia (SCA36) accompanied by motor neuron involvement.2011

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi H, Abe K, Matsuura T, Ikeda Y, Hitomi T, Akechi Y, Habu T, Yang LW, Okuda H, Koizumi A.
    • 雑誌名

      American Journal of Human Genetics 2011; 89:121-130.

      巻: 89 ページ: 121~30

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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