研究代表者は、2000名以上の脊髄小脳変性症の患者DNAを用いて臨床遺伝学的研究に携わってきた。優性遺伝を示す脊髄小脳変性症は、我々のデータでは、200名程度の患者が原因遺伝子不明である。特に中四国では優性遺伝を示す患者の40%が原因遺伝子不明である。これを明らかにするためには、連鎖解析の対象となる大家系が必要であるが、これはかなり得難いものである。これまでの脊髄小脳変性症の遺伝子研究、特にSCA3やSCA6の研究において、世界的にみても同祖(one fouder)である可能性が指摘されている。SCA6のハプロタイプを解析した我々の結果においても、2M塩基対にわたって、共通のハプロタイプを示している(Neurosci Lett 358(2004)107-110)。このことは、未知の遺伝子異常においても、家系が異なっても、同祖であれば、この領域を同定することにより、原因遺伝子を同定できることを意味している。したがって、原因遺伝子不明の脊髄小脳変性症家系において、共通するハプロタイプを検出することにより、原因遺伝子を同定することが可能である。本年度においては、家系の拡大および既知の遺伝子異常の除外をおこないつつ、10人の全ゲノムを対象にした約90万個の単一塩基多型を決定した。さらに、10人を対象にハプロタイプ解析を行ったが、この範囲においては、有意に共通のハプロタイプは見いだされなかった。
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