研究課題/領域番号 |
23659460
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60235687)
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キーワード | 血液脳関門 / 骨髄幹細胞 / 脳実質浸潤 / セルマイグレーション / リアルタイムイメージング |
研究概要 |
骨髄間葉系幹細胞(MSC)の静脈内投与が、脳梗塞などによる脳障害を改善することが報告されているが、MSC による脳保護作用、特に、静脈内投与されたMSC が血液脳関門(BBB)を通過し脳傷害部位に集積するメカニズムについては不明のままである。そこで本研究では、インビトロBBBモデルと培養脳スライスを活用することにより、MSCのBBB通過機構と脳傷害部位集積機構を解明することを目的としている。平成23年度は、脳微小血管内皮細胞(BMEC)よりなるインビトロBBBモデルを用いて、MSCのBMEC層通過メカニズム解析のための実験系を構築した。さらに、MSCとBMECを蛍光標識することにより、MSCがBMEC層の細胞間隙を通過する「現場」をリアルタイムで捉えることに成功し、論文として報告した。一方、培養脳スライスを用いた脳傷害部位集積機構の解析系構築は当初計画通りには進まなかった。MSC-BMECリアルタイムイメージング系を活用し、種々の蛍光標識タンパク質および蛍光イメージングプローブタンパク質を用いることにより、MSCのBBB通過機構に関して先端的かつ独創的な研究成果が得られることが期待されたため、平成24年度の研究では本イメージング系を用いたBBB通過機構の解析に焦点を絞り研究を進めた。蛍光タンパク質で標識したクロージン-5とカルシウムイメージング用蛍光プローブ分子を用いて、MSC通過中のBMECでのタイトジャンクション分子動態と細胞内カルシウム動態をリアルタイム観察するための実験系構築に取り組み、それらタンパク質をBMECに共発現させリアルタイムイメージングを行う実験系の構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養脳スライスを用いた脳傷害部位集積機構の解析系構築は当初計画通りには進まなかった。MSC-BMECリアルタイムイメージング系を活用し、種々の蛍光標識タンパク質および蛍光イメージングプローブタンパク質を用いることにより、MSCのBBB通過機構に関して先端的かつ独創的な研究成果が得られることが期待されたため、平成24年度の研究では本イメージング系を用いたBBB通過機構の解析に焦点を絞り研究を進めた。着実に研究は進展しているが、実験に時間を要するために1年研究期間を延長することにした。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光タンパク質で標識したクロージン-5とカルシウムイメージング用蛍光プローブ分子を用いて、MSC通過中のBMECでのタイトジャンクション分子動態と細胞内カルシウム動態をリアルタイム観察するための実験系構築に取り組み、それらタンパク質をBMECに共発現させリアルタイムイメージングを行う実験系の構築に成功した。今後はこの実験系を用いてさらに血液脳関門の機能解析および脳虚血時の動態について解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
インビトロ血液脳関門システムを構築し、その系を用いて虚血性脳細胞傷害の病態について解析中であるが、予想以上に実験に時間を要している。そのために、未使用額が発生し、補助事業期間を延長することにした。未使用額は、次年度の研究の試薬費、ガラス器具費、培養液費など実験に要する消耗品費として使用する。
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