研究課題
多分化能を有する骨髄間葉系幹細胞(MSC)は、その採取が容易であり、かつ培養技術が確立している。また、自家移植が可能なことから拒絶反応を考慮する必要もないため臨床への応用が期待されている。実験動物を用いた研究から脳梗塞後の神経障害に対する有用性が示されており、ヒトにおいてもその有用性が報告されている。静脈内に投与されたMSCの脳保護作用機構の全容を解明するためには、MSCの1)血液脳関門(BBB)通過機構、2)脳傷害部位集積機構について、その分子メカニズムが明らかにされることが必要である。。本研究では、MSCのBBB通過機構と脳傷害部位集積機構の解明を目的として、研究期間内に、(1)インビトロBBBモデルを応用したリアルタイムイメージング系の構築と、それを用いたMSCおよびBMECの細胞動態解析、(2)BMECにおけるタイトジャンクション構成タンパクClaudin-5の動態と細胞内カルシウム動態の同時イメージング系の構築、(3)MSCの脳障害部位遊走の評価系構築、を行うことを計画したが、初年度の研究において、(1)の研究に比べ、(3)の研究に遅れが生じた。(1)のリアルタイムイメージング系を活用し、種々の蛍光標識タンパク質および蛍光イメージングプローブタンパク質を用いることにより、MSCのBBB通過機構に関して先端的かつ独創的な研究成果が得られることが期待できたため、以後の研究では、(1)および(2)の研究に注力した。その結果、MSCが脳微小血管内皮細胞(BMEC)層の細胞間隙を通過する「現場」をリアルタイムイメージングにより捉えることに成功した。また、MSC通過中のBMECでのタイトジャンクション構成タンパクClaudin-5の動態と細胞内カルシウム動態を同時にリアルタイム観察するための実験系の構築に成功した。
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