甘味受容体を標的として、有効かつ安全なインスリン分泌刺激薬を作製する基礎となる情報を得ること、具体的には甘味受容体のどの結合部位の刺激により有効かつ安全な作用を発揮できるかを明らかにすることを目的としている。 4種類の甘味料はそれぞれ異なる細胞内シグナルを産生することが明らかになった。例えばスクラロースとアセスルファームKはCa2+とcAMPの両者を増加させるがCa2+動員機構は異なっていた。一方、サッカリンはcAMPのみ、グリチルリチンはCa2+のみを増加させた。4種類の甘味料はいずれもインスリン分泌を増加させた。4種類の甘味料のうち、スクラロースとサッカリンはトルブタマイドによる細胞死の抑制作用を示した。これらの結果から、スクラロースが分泌刺激能と細胞死抑制能をバランスよく示し、この結合部位に作用する化合物が有用と考えられた。
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