研究概要 |
妊娠期には、インスリン抵抗性の悪化に伴い、膵β細胞容量がごく短期間のうちに代償的肥大をきたす。申請者らは、この妊娠期の代償的膵β細胞量増加に中心的な役割をはたすメカニズムとして、セロトニン産生を介する膵β細胞増殖機構を報告した(Kim H. et al Nat Med 16:804-808, 2010)。このシグナル経路が、妊娠時以外で機能することは、今まで報告されていないが、我々は最近Rip(rat insulin promoter)-Creマウス(Magnuson (Vanderbilt University)作製)では定常状態においても膵ラ氏島にセロトニンが高発現していることを見出した。この機序の解明に関して、他の膵β細胞にCreが強発現する。Rip-Cre line (Herrera P. (University of Geneva)ら作製)やPDX-1-Cre line (Gu G.(Vanderbilt University)ら作製)を入手し、各マウスの膵β細胞におけるセロトニンの発現を調べたが、これらのマウスの膵β細胞には、セロトニンの発現が認められなかった。そこで、Rip-Cre (Magnuson)lineにおけるCreのIntegration site近傍の遺伝子発現の変化がこれらの変化を生んでいる可能性が考えられた。
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