研究課題/領域番号 |
23659477
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 裕 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70301281)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ケマリン |
研究概要 |
私たちは新規生理活性物質を探索するプロジェクトにおいてケマリンを同定した。私たちを含む4つのグループから独立して発見されたケマリンは新規アディポカインとして注目されているがその生理機能は不明である。私たちはノックアウトマウスを用いて解析を行い、ケマリンノックアウトマウスにおいては、耐糖能異常、インスリン抵抗性を呈することを見いだしたことから、ケマリンがインスリン分泌、インスリン感受性の両方を調節するホルモンであることを発見した。具体的にはグルコースクランプ試験では、筋肉におけるインスリン感受性が改善している一方、肝臓における糖新生が亢進していた。さらにインスリン分泌について詳細に解析したところ、ケマリンノックアウトマウスの膵島ではグルコース依存性インスリン分泌が低下しており、その機序としてβ細胞機能調節に重要な転写因子MafAの発現が低下していた。MafAの発現を単離膵島においてレスキューしたところ、グルコース依存性インスリン分泌が改善したことから、ケマリンは転写因子MafA発現を調節することによりβ細胞機能を制御していると考えられた(Scientific Reports 2011 1 123 DOI:10.1038/srep00123 )。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Scientific Reportsに論文として報告した。また褐色脂肪細胞調節機序として交感神経系が関与することが明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
ケマリンノックアウトマウスの解析をさらに進めたところ、は晩発性肥満を呈することを見いだし、その機序を解析したところ褐色細胞機能が低下していることが原因であると考えられた。現在その機序の詳細について解析を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
褐色脂肪制御機構について、in vivoにおけるノックアウトマウスの解析、in vitroにおける褐色脂肪細胞モデルにおけるケマリンの作用の解析について、それぞれ進めていく予定である。具体的には動物飼育費用、実験用試薬に主に使用するが、これまでの成果発表(学会、論文)も積極的に行う予定である。論文作製費として当該研究費が発生したが、H24年度には論文作成のために使用する予定である。
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