研究課題/領域番号 |
23659478
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
安井 和明 長崎大学, 大学病院, 医員 (30594064)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 癌-間質微小環境相互作用 |
研究概要 |
(1) Conditioned mediumを用いるin vitro実験(液性因子の検討)A. 癌細胞conditioned mediumの線維芽細胞/骨髄幹細胞の形質への影響の検討:複数の甲状腺癌細胞株を培養して得られたconditioned mediumで線維芽細胞、骨髄幹細胞を培養し、筋線維芽細胞への形質転換を検討した。しかし、細胞の形態変化、筋線維芽細胞特異的分子(-smooth muscle action (-SMA)とfibroblast activating protein (FAP))の発現は認められなかった。B. 線維芽細胞/骨髄幹細胞conditioned mediumの癌細胞の形質への影響の検討:線維芽細胞/骨髄幹細胞を通常培養した場合と、上記で示した癌細胞conditioned mediumで培養した場合のconditioned mediumで甲状腺癌細胞を培養したたが、同様に、細胞形態、細胞増殖、抗癌剤・放射線感受性、上皮間葉移行(epithelial-mesenchymal transition;EMT;間葉系のマーカーである-SMA・vimentin発現、上皮系のマーカーであるE-cadherin発現消失、細胞の運動性の上昇)に変化は認められなかった。(2) 細胞共培養を用いるin vitro実験(細胞間接着の検討):癌細胞と線維芽細胞/骨髄幹細胞を共培養し、それぞれの細胞の形態変化・増殖の変化を比較検討したが、変化は認めなかった。以上より、甲状腺癌と線維芽細胞/骨髄幹細胞の間の相互作用は同定できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ヒト甲状腺癌細胞株としてFROとKTC-1・2・3、TPC細胞を、コントロール細胞としてSV40 Tで不死化した甲状腺細胞Nthy-ori3-1(非腫瘍形成性)を、ヒト線維芽細胞はhTERT不死化BJ細胞を、ヒト骨髄間質幹細胞はHS-5細胞を用いて、in vitroでconditioned mediumを用いる実験を行い、癌細胞・線維芽細胞/骨髄幹細胞間での相互作用を検討できた。さらに、共培養系を用いて、細胞間接着の意義も検討しできたので、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
経過通り、in vivo実験を、癌細胞を単独、或いは線維芽細胞/骨髄幹細胞とヌードマウス皮下に共接種して腫瘍形成能を比較検討する事により行う。また、線維芽細胞/骨髄幹細胞への放射線前照射の影響も検討する。癌細胞・線維芽細胞癌細胞/骨髄幹細胞間での相互作用によるEMT誘導がうまくいかなかったので、EMTを誘導する方法を変更して、EMTに関与するサイトカイン(TGF-beta)・転写因子(SNAIL, ZEB, TWISTなど)・変異遺伝子(BRAF-V600E)の強制発現法を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記実験のため、(1)マウス購入・飼育、(2)サイトカイン・遺伝子購入、(3)細胞培養・分子生物学的実験などの費用に使用する予定である。
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