研究課題/領域番号 |
23659488
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
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研究分担者 |
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
齊藤 則充 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30597399)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 低分子化合物 / 増殖抑制 / 細胞周期 / アポトーシス |
研究概要 |
低分子化合物を添加することにより、IL-3依存性Baf3細胞増殖を抑制することを指標としたクローニングを行った。約10000個の低分子化合物をスクリーニングした結果、Baf3細胞増殖を抑制する可能性がある61個の低分子化合物を選別できた。これら化合物の中には、アポトーシスを誘導するもの、細胞周期を制御するもの、Baf3細胞形態を変化させるもの、などそれぞれ特徴ある変化を誘導するものが含まれていた。これら61化合物に加え類似の構造を持つ新たな化合物に関して、骨髄性白血病細胞株32D、赤白血病細胞株MELなどに及ぼす作用を解析するとともに、化合物が水溶性であること、化合物がアミノ基や水酸基をもつこと、などを指標にして候補化合物を5個 (T-167317, T-170633, T-005170, T-051702, T-181056)に絞り込んだ。T-167317は、Baf3細胞特異的に細胞周期を制御した。T-170633は、Baf3細胞・32D細胞・MEL細胞に対し、細胞の多核化を誘導し細胞周期を制御した。Baf3細胞・32D細胞・MEL細胞に対し、T-005170とT-181056は細胞死を、T-051702は細胞周期静止を、誘導した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Baf3細胞培養に低分子化合物を添加して増殖抑制を観察することにより、約10000個の低分子化合物をスクリーニングすることができた。候補化合物として5化合物の選別も終了できた。当初の予定通りに、研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ磁性微粒子(FGビーズ)は、 フェライト粒子をポリマーで被覆した200nmの粒子であり、表面に設けられたリンカーの先端に低分子化合物をリガンドとして固定化できる。このFGビーズを用いて、各低分子化合物が標的とする分子の精製・同定を以下の手順にて行う。(手順1)選別した化合物の構造に適したFGビーズを選択し、FGビーズに化合物を固定化する。(手順2)MEL細胞株から抽出液を作製し、化合物固定化FGビーズと混合する。(手順3)磁気分離を行いつつ洗浄した後に、FGビーズから結合蛋白を溶出する。(手順4)精製蛋白を電気泳動し、特異的バンドを切り出す。ゲルからの蛋白抽出・トリプシン処理を行った後に、質量分析(MALDI/TOF)にて解析する。また、同定された化合物結合候補蛋白と化合物の間の結合を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
FGビーズおよび化合物の固相化用試薬を購入する。さらに、化合物に結合する蛋白の精製や同定を行うための試薬やMEL細胞用培養液を購入する。また、同定された化合物結合候補蛋白と化合物の間の結合を確認するための、cDNAや遺伝子操作用試薬の購入にもあてる。
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