研究課題
急性GVHDのマウスモデル(B6 into B6D2F1)を用い,小腸のパネート細胞がGVHDの標的細胞であることを証明した.その結果,パネート細胞による抗菌ペプチド,さまざまなalpha-defensin群抗菌ペプチドの産生低下がみられた.次に腸内細菌叢の変化をt-RFLP法を用いて検討した.ナイーブマウスでは多様性に富んださまざまな細菌叢がみられた.同種骨髄移植後,GVHD非発症群(T細胞除去骨髄移植群)ではこのような正常細菌叢が保たれていたが,GVHD発症群(T細胞投与群)では,細菌叢の多様性が消失し,単一の病原菌の優勢な増殖がみられた.このような腸内細菌叢の変化の程度は急性GVHDの重症度と相関していた.さらにGVHD群では優勢に増殖した細菌に血中流入による全身感染症の発症がみられた.以上から,GVHDと感染症の新たな関連とその分子機構が示された.
1: 当初の計画以上に進展している
この1年間で,ほぼ全体像を把握できるところまで研究が進捗した.第一報が論文化に近く,予想以上に進展した.また国内(北海道大学)および欧米(米国,ドイツ)の他の研究期間の研究者とのコラボレーションもできた点も評価したい.
ここまでの結果で論文化する.その後,さらに,デフェンシン以外の抗菌ぺプチドであるRegIIIについての研究を,他機関とのコラボレーションによって遂行する.さらに,このような分子をGVHDの疾患バイオマーカーとして利用できないかの研究もあわせて実施していく.将来的にヒトでの臨床研究へとすすめる準備も考えている.
マウスの購入,維持費,研究試薬の購入など,今年と同等の経費を必要とする.
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