研究課題/領域番号 |
23659496
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中島 裕史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00322024)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | メモリーTh2細胞 / 気管支喘息 / シグナルシークエンストラップ法 / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
気管支喘息は増加の一途をたどっており、その病態の解明に基づく有効な根本的治療法の確立が急務である。気管支喘息の長期寛解を期待できる唯一の治療法として抗原特異的免疫療法があるが、その有効性は不十分である。その原因としてアレルギー疾患患者の生体内にはメモリーTh2細胞のプールが既に形成されていることが考えられる。この問題点を克服し、抗原特異的免疫療法の有効性を高めるためには、メモリーTh2細胞のプールを縮小することが重要であるが、メモリーTh2細胞の除去に利用可能なメモリーTh2細胞に特異的に発現する細胞表面分子は未だ同定されていない。従って、本研究では、メモリーTh2細胞に特異的に発現する細胞表面分子を同定し、アレルギー疾患におけるメモリーTh2細胞の局在と機能を明らかにするとともに、同分子に対する抗体を用いたメモリーTh2細胞プールの縮小法を確立することを目的とした。平成23年度の研究では、シグナルシークエンストラップ変法とDNAマイクロアレイ解析を組み合わせて、メモリーTh2細胞に特異的に発現する細胞表面分子の同定を目指した。一回目のスクリーニングは終了し、24遺伝子が単離されたが、残念ながらメモリーTh2細胞に特異的に発現する細胞表面分子の同定には至らなかった。今回のスクリーニングが不成功におわった原因として、十分なウイルスタイターが得られなかったことが推察され、現在、スクリーニング法の改良と再スクリーニングのコンディショニングを行っている。他方、平成23年度の研究にて、細胞表面分子ではないがIKAROSファミリーに属する分子がTh2細胞に比較的特異的に発現していることを見出した。現在、同分子のT細胞分化における役割の解析も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究では、シグナルシークエンストラップ変法とDNAマイクロアレイ解析を組み合わせて、メモリーTh2細胞に特異的に発現する細胞表面分子の同定を目指したが、残念ながら一回目のスクリーニングでは、メモリーTh2細胞に特異的な細胞表面分子の同定には至らなかった。しかし、問題点を克服するためのセットアップ実験は確実に進展している。さらに、細胞表面分子ではないがIKAROSファミリーに属する分子がTh2細胞に比較的特異的に発現していることを見出し、同分子のT細胞分化における役割の解析を解析し、一定の成果をえている。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
シグナルシークエンストラップ変法でのスクリーニングにより有望な蛋白が同定できなかった理由の一つとして作製したライブラリーのウイルスタイターが低かったことがあげられる。得られたTh2細胞数が不十分であったこともライブラリーの質に影響したと考えられる。そこで本年度の研究では、パッケージング細胞を再クローニングして最適化するとともに、Th2細胞を大量に調整する方法を確立し、ライブラリーを再構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
パッケージング細胞の最適化、Th2細胞の調整とライブラリーの再構築、再スクリーニングに用いる、酵素、培養液、ウシ血清、抗体、DNAマイクロアレイ用チップ等の消耗品に研究費を使用する予定である。
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