研究課題
潰瘍性大腸炎(UC)が10万人、クローン病(CD)は2万人おり、若年者の罹患が多く社会的損失が大きい。治療法の遅れもさることながら、低侵襲性の信頼できる病勢マーカーがないことが大きな問題である。最近、炎症性腸疾患(IBD)でIgG型抗GM-CSF自己抗体が血清中に増加し、病勢や病変の広がりと相関があることが報告された。しかし、我々の検討では、増加している抗GM-CSF自己抗体は、肺胞蛋白症ではIgG型であるのに対し、IBDではIgM型であることが示唆された。24年度では、炎症性腸疾患80例、健常者15例の血清抗GM-CSF自己抗体濃度を測定した。IgG型の抗GM-CSF自己抗体は、IBDでは、6例に検出されたが、健常者では皆無であった。一方、IgM型抗GM-CSF自己抗体は、IBDでは1.11±0.11 μg/mlであり、健常者では0.43±0.08 μg/mlであった。両群の有意差は、0.001で有意にIBDでIgM 型抗GM-CSF自己抗体価の上昇が見られた。
2: おおむね順調に進展している
23年度に150例の炎症性腸疾患の血清を収集する予定であったが、これまで80例にとどまった。一方、健常者血清40例を目標に収集していたが、それも15例に留まっている。炎症性腸疾患では、クローン病と潰瘍性大腸炎に分類し、解析予定であるが、患者データベースの作成が遅れており、24年度には完成させたい。
現在消化器内科の医師3人の外来に来院する患者の血清を収集しているが、23年度は8月より3月までの間に80例だったので、このペースで収集すれば、24年の12月までに150例のIBDの血清を収集できる。IBD患者の年齢の中央値は35歳であったので、健常コントロールはそれに合致した年齢から選んでいく。外来診察時に収集した情報からデータベースを作成し、クローン病と潰瘍性大腸炎に分類し、さらに年齢別、性別、重症度別の層別解析を実施したい。
今年度は、自己抗体測定に50万円、その他の炎症性マーカーに30万円程度、データベース入力・作成の謝金に50万円程度を見込んでいる。また、研究を発表するため、学会などの参加に5万円を計上したい。
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