研究課題/領域番号 |
23659502
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40367389)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / シノビオリン / 小胞体関連分解 / 線維化 / 阻害剤 |
研究概要 |
関節リウマチは慢性炎症を基礎とする代表的疾患の1つであり、多段階の病的プロセスが相互作用し、時空間的に多様な病態を呈しながら進行する。我々は滑膜細胞に過剰発現するE3ユビキチン化酵素シノビオリンを発見し、シノビオリンが可溶型小胞体基質およびp53を選択的にユビキチン化すること、これらの活性を介して関節症の発症に関与することを証明した。さらに最近、シノビオリンが肝臓の線維化に重要な役割を示すことを明らかとし、これまで全く異なる病態と考えられていた両疾患に共通の発症機序が存在することを発見した。したがって、シノビオリンを標的とすることで関節リウマチや肝線維症に代表される線維化疾患に対する治療につながる可能性が考えられるため、本研究では我々の有するユビキチン化阻害剤を用いた線維化制御の開発を目指すことを目的とした。本年度は、培養細胞を用いて線維化の過程で選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤がどのような影響を及ぼすかを検討し、これにより各阻害剤が線維化制御につながるかを細胞レベルで検証することとした。各細胞において線維化にかかわる分子に選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤がどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果、選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤は、関節リウマチ滑膜細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。さらに動物レベルでの解析に向け、シノビオリン遺伝子floxマウスの繁殖維持を継続して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節リウマチ線維化形成の中心的細胞となる関節リウマチ滑膜細胞において、選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤の効果が示された。当初の計画では、関節リウマチ滑膜細胞、および肝線維症の中心的細胞となる星細胞細胞株を用いる予定としていたが、一方での効果が示されたため、本研究の目的としては十分であり、動物レベルでの検証が重要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤が他の線維化モデルマウスの病態発症に対してどのような効果を有するかを検討する。これにより、各阻害剤が線維化制御につながるかを動物レベルで検証する。たとえば、腎線維症モデルは、ネンブタール麻酔下にて開腹し、片側の尿管を縫合糸にて結紮し閉塞させる、肝線維症モデルは10 mL/kg四塩化炭素を週2回、4週間腹腔内投与する、肺線維症モデルは:0.6 mL/kgブレオマイシン100 Lを気管内投与する、膵線維症モデルはネンブタール麻酔下にて開腹し、実体顕微鏡下で膵管を縫合糸にて結紮し閉塞させる、などにより各種線維化モデルマウスを作製し、同時に選択的・非選択的ユビキチン化阻害剤を投与することで線維化発症の程度に変化を起こすかを検討する。評価項目としては、体重・血液生化学的検査・組織標本による病理学的解析とする。またこのとき比較対照としては、syno-/-が胎生致死となるため、組織特異的なシノビオリン遺伝子コンディショナル欠損マウスを用いる。シノビオリン遺伝子floxマウスと標的とする臓器でCreを発現するトランスジェニックマウスを掛け合わせることで、胎生致死を逃れて生存し、標的組織特異的にシノビオリンが発現しないマウスを作製することができ、シノビオリンが発現しない状態での標的臓器における各阻害剤の影響を検討することができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費については、動物実験使用試薬等、化合物合成費用、プラスチック器具、実験動物購入費(遺伝子改変マウスの繁殖維持に用いる野生型マウスおよび線維化モデルマウスの作成に用いる野生型マウス)に使用する。また、旅費としては、研究に関連する国内外への学会の参加、国内での研究打ち合わせに使用する。その他、事務連絡や試料の受け渡しに必要な切手、電話、宅急便費や、論文別刷り等の印刷費、文献複写費、学会参加費、英文校閲費、論文投稿料等に使用する。
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