研究課題/領域番号 |
23659510
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高田 徹 福岡大学, 医学部, 准教授 (90268996)
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研究分担者 |
田村 和夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60145422)
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40189189)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 乳癌 / 腸管細菌叢 |
研究概要 |
本研究では、乳癌発がんと腸管細菌叢との関係を解明するため、分子生物学的手法を用いて30~50歳代の初発乳癌患者と同年代の健常者の腸管細菌叢を網羅的に解析し、乳癌患者に特有な腸管細菌叢パターンを解明する事を目的としている。さらに、腸管細菌叢パターンと乳癌の各病理組織型、ホルモンレセプターやHER2遺伝子発現の有無、患者の食習慣との関係の探索を行う。 具体的な方法として対象乳癌患者並びに同年代の健常者女性からi)便を採取後、核酸を抽出し、16S rRNAをPCR法で増幅後に大腸菌への形質転換を行ってサブクローニングし、ライブラリーを作成している。その後、形質転換された大腸菌を無作為に選択し、塩基配列を決定し、既知の菌16S rRNA遺伝子とデータベースから相同性検索を行い、腸管細菌叢の構成を決定する事を試みている。 初年度は実験系の確立のために主として健常者女性の便検体中の菌叢を対象として、16S rRNAクローンライブラリーの構築と塩基配列の決定を行っている。これまでのところ、各人から検出される菌種は特定菌種が検出されるものがほとんどで、菌叢の多様性については明らかになっていない。この理由については、1)塩基配列の決定を行なったサブクローン化検体数が充分でなく、菌叢構成内の全体像を明らかにしきれていない可能性、2)健常者の菌叢そのものが元々多様性に乏しい、の両者の可能性考えられる。 次年度は解析を乳癌患者にも拡大して健常者菌叢との比較検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳癌患者における登録および検体収集が予定通りに進んでいない。事由の一つとして対象年齢を30~50歳代の比較的若年者に限定している事が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
I)今後研究登録対象年齢層を50歳代以上にも拡大する事を考慮して検体の収集を促進する。 II)健常者および乳癌患者における多様性の有無を確認するため塩基配列の決定を行なうサブクローン化検体数を増やす。 III)乳癌生検標本は病理組織型診断並びに病理組織中のホルモンレセプター/HER2発現を解析する。 IV)既知の乳癌のリスク因子として知られる項目(近親者における乳癌の家族歴、食事の嗜好[推定平均摂取カロリー、動物性脂肪の摂取量を含む]、初潮年齢、閉経年齢、出産回数、初産年齢、肥満度、など)を含むアンケート調査を乳癌患者に実施する。 以上の結果を基に、「健常者と比較して乳癌患者に特有の腸管細菌叢の構成パターン」、「腸管細菌叢の構成パターンと各乳癌病理組織やホルモンレセプター/HER2発現との関連」、「食習慣の内容や既知の乳癌のリスク因子と腸管細菌叢の構成パターン」につき解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
I)増幅PCR断片のクローニング並びにシークエンスに必要な薬品代、培地などその他の薬品代(病理検査関連消耗品を含む)II)生検組織の病理組織診断、ホルモンレセプター/HER2発現の解析III)アンケートの通信費等に使用予定である。
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