研究課題/領域番号 |
23659510
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高田 徹 福岡大学, 医学部, 准教授 (90268996)
|
研究分担者 |
田村 和夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60145422)
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40189189)
|
キーワード | 乳癌 / 菌叢 / 糞便 |
研究概要 |
本研究では、乳癌発がんと腸管細菌叢との関係を解明するため、分子生物学的手法を用いて初発乳癌患者と同年代の健常者の腸管細菌叢を網羅的に解析し、乳癌患者に特有な腸管細菌叢パターンを解明することを目的としている。さらに、腸管細菌叢パターンと乳癌の各病理組織型、ホルモンレセプターやHER2遺伝子発現の有無、患者の食習慣との関係の探索を行う。 具体的な方法として対象乳癌患者並びに同年代の健常者女性からi)便を採取後、核酸を抽出し、16S rRNAをPCR法で増幅後に大腸菌への形質転換を行ってサブクローニングし、ライブラリ‐の作成を進めている。その後、形質転換された大腸菌を無作為に選択し、塩基配列を決定し、既知の16s rRNA遺伝子とデータベースから相同性検索を行い、腸管細菌叢の構成を決定することを試みている。 これまでのところ、健常人の検体を中心に初年度より塩基配列を決定するサンプル数を増やして解析しているが、特有の菌種が検出されることが多く、菌叢パターンの多様性については明らかになっていない。そのため、同一個人の菌叢内での多用性自体が現段階では明らかになっていない。 一方で、本研究の主たる対象となる乳癌患者における検体収集が進んでおらず、現段階では健常者と乳癌の比較検討を行えるまでには至っていない。そのため、当初の研究計画を1年延長して本年度、乳癌患者における検体収集の促進を図り、健常者菌叢との比較検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現段階ではコントロールとしての健常者における便菌叢の多様性が明らかになっていない。この理由として、1)塩基配列の決定を行う検体数が現在行っているレベルでは菌叢構成内の一部しか反映ない、2)健常者の菌叢そのものが元々多様性に乏しい、3)検体ライブラリー作成上の技術的な問題、の何れかが疑われ、検討を進めている。 一方で、乳癌患者における検体の収集が進んでいない。そのため、本研究の本来の目的である乳癌患者と健常者の比較にまで至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
関係者に改めて研究協力を呼びかけ乳癌患者の便等検体収集促進を図る。健常者の菌叢の多様性については、異なる被験対象の検体についても再確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究の主たるターゲットである乳癌患者における検体の収集が進んでいないため次年度へ800,000円を繰り越した。次年度は乳癌患者における検体の収集を進め、主として同患者群における便検体中の菌叢の解析を進める。繰り越しとなる研究費は主として試薬やキット等の消耗品を中心に使用する見込みである。
|