研究課題
チャネル遺伝子であるSCN1A遺伝子やCACNA1A遺伝子に変異を持つ患者では、高率にてんかんと発達障害を合併する。しかし、てんかん患者における発達障害の合併には以下の3つの可能性が考えられる。すなわち、①抗てんかん薬の副作用、②てんかんの二次的障害、③もともとの病因がてんかんと発達障害を発症している可能性である。ヒトにおいては、抗てんかん薬治療の中止や、てんかん発作の誘発はできないことから、①や②の要因を完全に除外して原因を特定することはできない。そこで、モデル動物を用いて、チャネル遺伝子変異に伴う発達障害の病態の解明と病態に基づく治療法の開発をめざした。Scn1a遺伝子にミスセンス変異(ホモ接合)またはCacna1a遺伝子にミスセンス変異(ヘテロ接合)を持つラットを用いた。長時間ビデオ脳波解析によるてんかん発作の評価、網羅的行動テストによる発達障害の評価、組織学的検討を行った。長時間ビデオ脳波解析で、Scn1a遺伝子にミスセンス変異(ホモ接合)またはCacna1a遺伝子にミスセンス変異(ヘテロ接合)を持つラットともに自発発作は認められなかった。網羅的行動テストにより、Scn1a遺伝子にミスセンス変異(ホモ接合)をもつラットでは、常同運動、多動、空間学習障害、固執、不安、協調運動障害が認められ、Cacna1a遺伝子にミスセンス変異(ヘテロ接合)を持つラットでは空間学習障害、衝動性、空間学習障害、固執、協調運動障害を合併することが明らかになった。また、組織学的検討により、Scn1a遺伝子にミスセンス変異(ホモ接合)および、Cacna1a遺伝子にミスセンス変異(ヘテロ接合)では大きな形態学的変化は認めなかった。チャネル遺伝子異常に伴う発達障害では、抗てんかん薬の影響、てんかん発作による二次的障害の影響がなくとも発達障害を発症することが明らかになった。
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