今後の研究の推進方策 |
現在、脊髄性筋萎縮症(SMA)の新規治療法を目指したポリオウイルス(PV)ベクターの可能性について研究を進めている。作製されたGFPをタグした領域の下流にSurvival of motor neuron (SMN) 1 mRNAを搭載したPV DI 粒子をHeLa細胞、神経芽腫SK-N-SH細胞、Type I SMA患者由来線維芽細胞に感染させ、導入したGFP-SMN蛋白質の発現及びその機能解析を行っている。さらに、外来遺伝子搭載用PVベクターの病原性の軽減を目指してベクターを改変した最適化を行う予定である。 1)PVベクターの病原性軽減:PVのinfectious clone(pOM1)を用いてPVゲノム内のウイルス構造蛋白質に関わるP1領域(VP1, VP2, VP3, VP4)、病原性、ウイルスの複製やプロセッシングに関わるP2領域(2A, 2B, 2C)及びP3領域(3A, 3B, 3C, 3D)の各11領域個々の発現プラスミドを作製する。 2)作製された各領域発現プラスミドをヒト細胞株にトランスフェクションし、導入された蛋白質発現、細胞内局在、細胞毒性を網羅的に調べる。 3)各領域を発現させた細胞による細胞毒性等の解析データから、細胞毒性を惹起するゲノム領域の遺伝子欠失または変異を導入し、各種ヒト細胞株を用いて細胞毒性の軽減を評価する。その結果より改変したPVベクター内に外来遺伝子を導入し、標的遺伝子を搭載したPV粒子を作製する。 4)作製された外来遺伝子搭載PV粒子の複製能について評価し、さらに、この粒子を用いて脊髄性筋萎縮症患者由来線維芽細胞及びiPS細胞由来神経細胞に導入した外来遺伝子由来の蛋白質発現をウエスタンブロット法により調べる。
|