研究課題/領域番号 |
23659534
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70263085)
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研究分担者 |
鈴木 一有 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50456571)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 質量分析 / 質量顕微鏡 / 妊娠 / 胎盤 / 絨毛 |
研究概要 |
「質量顕微鏡法」とはマトリックス支援レーザー脱イオン化法 (MALDI) 用いて、臓器から作成した生体組織切片の任意の部位の多数のスポットにレーザーを照射することで生体高分子をイオン化し、このイオンを飛行時間質量分析計 (TOF-MS) で分析する技術であり、生体組織の切片上の数千点におよぶ質量分析の情報から特定の分子情報のみ選択して処理し二次元画像化することが可能である。 平成23年度は正常分娩で得られた胎盤をこの「質量顕微鏡法」を用いて解析し、幹絨毛では sphingomyelin (d18:1/16:0) が特異的に、終末絨毛では phosphatidylcholine (16:0/20:4) が特異的に発現することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、新規テクノロジーである「質量顕微鏡法」をヒト胎盤組織の生理的、病理的な解析を行う事を目的としている。 平成23年度の当初の到達目標は、正常胎盤組織において本研究方法により、質量分析の情報から特定の分子情報のみ選択して処理し二次元画像化する技術の確立を目指している。上記「研究実績の概要」に報告したように少なくとも sphingomyelin (d18:1/16:0)あるいは phosphatidylcholine (16:0/20:4) の二次元的な分布を明らかにできたことから、基本的な解析方法は確立された。さらに、平成24年度には、病理的な胎盤(妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、胎児機能不全、不育症、習慣性流産)の解析を行う準備が整った状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果より、「質量顕微鏡法」を用いて幹絨毛と終末絨毛に特異的に発現する物質の解析が可能となった。 平成24年度はこの技術を合併症(妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、糖尿病、膠原病、常位胎盤早期剥離など)妊婦の胎盤ならびに初期絨毛の解析に応用する予定である。とりわけ妊娠高血圧症候群ならびに胎児発育不全症例の胎盤においては、特異的な物質の発現を同定して、発症予知マーカーの同定を目指す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「質量顕微鏡法」を行うための試薬などの消耗品購入費用、情報収集のための学会出張費用、論文投稿費用などに研究費を使用する予定である。
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