研究課題
近年、質量分析(mass spectrometry: MS)技術のめざましい発展、発達により、生体高分子は多彩な修飾を受けることが注目されている。従来の質量分析では測定のために生体試料を分離・精製する必要があり、組織内局在といった二次元の位置情報は失われてしまう。一方、「質量顕微鏡法」の登場により、マトリックス支援レーザー脱イオン化法(MALDI)用いて、臓器から作成した生体組織切片の任意の部位の多数のスポットにレーザーを照射することで生体高分子をイオン化し、このイオンを飛行時間質量分析計(TOF-MS)で分析することで、生体組織の切片上の数千点におよぶ質量分析の情報から特定の分子情報のみ選択して処理し二次元画像化することが可能となった(Proteomics. 2008;8:3692-701)。すなわち、通常の組織切片を用いて、任意の生体高分子の分布を特定が可能となった。すなわち、「質量顕微鏡」法は、生体組織切片においてこの質量分析(MS)を二次元で行い任意の生体高分子の分布を検出しうる画期的な新規解析技術である。本研究計画は「質量顕微鏡」を用いてヒト胎盤絨毛における生体高分子分布の解析方法の確立を世界で初めて試みることを研究目的とした。ヒト胎盤絨毛に対して「質量検鏡法」を用いる技術を確立して、妊娠末期の正常胎盤における幹絨毛と終末絨毛ではsphingomyelin (d18:1/16:0)とphosphatidylcholine (16:0/20:4)分布が異なることを明らかとなった。さらに、妊娠末期の重症妊娠高血圧腎症の終末絨毛では四種類の生体高分子が特異的に発現亢進していること見いだし、その疾患特異性、血中濃度の測定について基礎的な研究を行っている。そして、平成25年3月20日に米国フロリダで開催された第60回米国産科婦人科学会(SGI)にて研究成果を発表した。
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