Aktはインスリンによって活性化される蛋白リン酸化酵素であり,細胞増殖や糖代謝など多彩な生物学的作用を有することが知られている。肺胞上皮細胞特異的にAktを活性化すると、帝王切開により早期晩出した胎児において肺胞における毛細血管密度の減少とVEGF、HIF-2の発現量低下がみられ、新生児呼吸窮迫症候群ときわめて類似した表現型を呈することが明らかになった。また、ラパマイシン投与により、VEGF、HIF-2の発現量が増加しRDSの病態が改善された。以上の結果から、胎児期における過剰なAktシグナルが、mTOR依存性にVEGFの発現を抑制することにより、RDSの病態形成に関与するものと考えられた。
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