研究概要 |
Laser microdissection (LM)の技術を皮膚疾患の解析に応用する目的で以下の研究を行った。 1. 表皮細胞の分化にともなう遺伝子発現変化の解析: 表皮細胞は,基底層から有棘層、顆粒層、角層にいたる角化という分化過程で遺伝子発現を著しく変化させる。そこで、filaggrin遺伝子に注目して、LMにより表皮下層と上層から遺伝子を採取し発現の変化を定量RT-PCR (qPCR)にて比較した。その結果、filaggrin発現が表皮上層で著しく発現が亢進することを確認できた。 2. 角化に伴う鉄代謝遺伝子の発現解析(最終年度): そこで、表皮細胞における鉄代謝関連遺伝子の発現が角化にともないどのように変動するかを解析した。その際に、得られた遺伝子発現解析の結果がタンパク発現と相関するか否かを免疫染色で確認した。その結果、検討したhemeoxygenase-1, hemeoxygenase-2, transferrin, ceruloplasmin, hephaestin, IRP1, IRP2, ferroportin, ferritin, heavy chain, transferrin receptor 1, LC11A2などの遺伝子全てについて、mRNA発現とタンパク発現の相関が確認できた。 3. 乳房外パジェット病におけるRANKL遺伝子の発現(最終年度): 我々は、最近免疫染色により乳房外パジェット病の腫瘍細胞が特異的にRANKL遺伝子を発現していることを見いだした。そこで、果たしてその免疫染色の結果が染色上のアーティファクトでないか、また、タンパク発現は転写レベルで調節されているか否かをLaser microdissectionによる遺伝子発現解析により検討した。その結果、遺伝子発現、タンパク発現の間で極めて良好な相関が得られた。
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