研究課題/領域番号 |
23659545
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
島田 眞路 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10114505)
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研究分担者 |
川村 龍吉 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70262657)
青木 類 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (10377541)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | HSV / HIV / 経皮感染 / 自然免疫 |
研究概要 |
(目的)微生物が上皮細胞からの抗菌ペプチド産生を介してLCのHIV感染に影響を与えるかを検討する。(方法)1.HSV-2をを正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)に12時間暴露後、抗菌ペプチド (Cathelicidin、αDefensin5-6、βDefensin1-4)に対するreal-time PCRを行う。2.次に、monocyte- derived LC (mLC)を樹立した後、Cathelicidin, αDefensin5-6, βDefensin1-4をmLCに24時間暴露した後、HIV BaL(R5-HIV)に2時間感染させ、7日後、HIV感染mLC数を定量する。3.さらに、手術で余剰となった皮膚を患者の同意のもと提供して頂き、皮水疱蓋をプレート上に並べ、真皮側に少量のvolumeに調整した抗菌ペプチド液を4時間暴露する。表皮水疱蓋をPBSで洗浄後、HIVを2時間暴露する。洗浄後、表皮水疱蓋をmedium上に浮かべ3日間培養する。表皮水疱蓋からwellの底へ遊走するLCのHIV感染率をFACSで定量する。(結果)1.HSVの曝露によりNHEKにCathelicidin、βDefensin1-3の発現増強が認められたが他の抗菌ペプチドの発現上昇は認められなかった。HIVをNHEKに曝露してもすべての抗菌ペプチドの発現に影響を与えなかった。2.HIV曝露前に処理した抗菌ペプチドの中で、Cathelicidin (LL37)のみがmLCのHIV感染を有意に増加させた。3.Cathelicidin (LL37)をHIV曝露前の表皮水疱蓋に処理すると、表皮内LCの有意な感染増強が観察された。(意義)これら1~3の結果より、HSVは表皮細胞にCathelicidin (LL37)を誘導することによってHIVの生体内侵入を促進している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSVの曝露によりNHEKにCathelicidinの発現増強が認められることや、Cathelicidin (LL37)がヒト表皮内LCのHIV感染を増加させることは、世界でも未だ報告がなく、全く新しい知見と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、これまで得られた知見をさらに科学的に証明するため、NHEKのLL37遺伝子発現をsiRNAを用いて低下させ、その際のHSV曝露後のNHEK培養液がLCのHIV感染にどのように影響するかを検討する。また、臍帯血から比重分離により単核球を回収後、CD34 Progenitor Cell Isolation Kit (Miltenyi Biotec)を用いてCD34陽性血液幹細胞を調整する。8-12週令NOJマウスに移植する。ヒト化NOJマウス膣粘膜に化学的に粘膜欠損を作成し、1か月後その創傷治癒後の組織を免疫染色し膣上皮・粘膜下層にヒトLC/DCが存在するか検討する予定である。また、ヒト表皮をヒト化NOJマウスに移植することで経皮膚HIV感染モデルを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究に必要な物品費はすべて消耗品類(HIV,モノクローナル抗体,細胞培養液,培養器具,ELISA Kit,その他試薬)等の購入に使用する予定である。繰越金は上記の如く今後の「ヒト化NOJマウスの経皮膚HIV感染モデル」の検討のための消耗品等として使用する予定である。
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