研究課題
当初の計画において、メラノーマ腫瘍特異抗原であるTRP2およびTh1誘導アジュバント活性をもつAg85B遺伝子の同時搭載型PIV2ベクターの構築を予定していたが、昨年度に得られた導入位置による遺伝子発現量の有効性を考慮し、2遺伝子搭載型ではなく、2種混合経鼻噴霧型ワクチンへの転換を計った。実際には、C57BL/6マウスにB16-F10細胞(3x10^6個/匹)を静注し作製した肺転移メラノーマ様モデルマウスに、A群:PIV2ΔM/Ag85B[4x10^6(TCID50)]、B群:PIV2ΔM/TRP2 (1x10^5)、C群:PIV2ΔM/Ag85B(2x10^6)およびPIV2ΔM/TRP2 (5x10^4)、D群:PBS(ワクチンなし)、E群:PIV2/ΔM(4x10^6)を腫瘍移植0、7、14日後にそれぞれ経鼻投与し、22日目に肺転移抑制効果を解析した。各群でのメラノーマの肺転移率は、A群:67%、B群:75%、C群:50%、D群:67%、E群:33%で、予想に反しコントロールとして接種したPIV2ΔMのみの経鼻投与が最大の転移抑制効果を示した。これらの機序解明のために、マウスの肺でのサイトカインプロファイルを作製した。ワクチン非投与群(D)においては、転移の有無にかかわらずIL-17の発現が強く抑制された。一方、ワクチン投群では、転移抑制に相関してIL-17の強発現がみられた。特に、2種同時投与群(C)において顕著であった。同様にTh17系ケモカインCCL20についても同様の結果が得られ、最大の転移抑制効果を示したE群で顕著であった。一方、同系のCCL2の発現に関しては、転移抑制と逆相関がみられた。これらの事象は、PIV2ΔM、PIV2ΔM/Ag85B ならびにPIV2ΔM/TRP2のTh17系誘導能を示唆し、メラノーマの肺転移抑制における有効性が認められた。
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