研究課題/領域番号 |
23659559
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長澤 達也 金沢大学, 大学病院, 講師 (10334773)
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研究分担者 |
小野 靖樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00507064)
金田 礼三 金沢大学, 大学病院, 助教 (40456413)
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キーワード | 触圧覚 / 統合失調症 / P300 / 注意機能障害 |
研究概要 |
①健常対象群と統合失調症患者のリクルート:健常対象群として男性20名、女性20名および統合失調症患者男性13名、女性10名の計23名から試験参加の同意を得て試験を実施した。 ②データの収集と実施:指先触圧覚認知P300測定システムにて触圧覚刺激時の脳波データを収集を行った。また、あわせてvisual analogue scale(VAS)による試験遂行時の刺激に対する痛みの評価のデータ収集を行った。 ③データ解析と測定 触圧覚P300 の解析:光磁気ディスクに保存してある脳波データを、AtamapII、Eplyzer IIの搭載してあるオフラインのコンピューターに接続したうえで再生し、標的刺激で鉄心が駆動した時をトリガーとして、刺激前50msec から刺激後500msecまで脳波を約32 回加算平均した。またP300電位として、各電極部位の刺激前50msec から0msecの電位の平均を基線として、刺激後300msec 前後の陰性頂点電位の振幅と潜時を計測した。なお、得られたP300電位は視察ではあるが、健常群よりも、P300振幅は統合失調症患者では小さかった。統合失調症の触覚系の注意機能を明らかにする上で非常に意義深く重要な所見であると思われる。ただし、健常者群と患者群において、患者群に予期せず年齢のばらつきが大きく、健常者群と年齢において差がみられた。 ④臨床症状評価と被験者背景の記録:統合失調症患者の精神症状の評価として、試験遂行時のBPRS (Brief psychotic rating scale)を用いて評価した。また試験遂行時の服用薬物、教育歴、利き手などの記録を行った。 ⑤情報収集と成果発表:本試験に関連する研究の最新の知見を得るために、第109回日本精神神経学会、第26回日本総合病院精神医学会に参加した。また研究協力者である中田晶子と健常対象群の指先触圧覚認知P300の性差についての検討を行ったが、性差が見られなかったことに関して第52回日臨技中部圏支部医学検査学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①健常対象者と年齢のマッチした統合失調症患者のリクルートおよび同意取得が困難であるため。 ②試験遂行時の脳波データの中で、アーティファクトの混入が多く、解析不能である症例があるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の対象疾患となる統合失調症患者のリクルートを研究分担者とともに、作成してあるパンフレットやリーフレットによって行う。また、病院のデータベースより対象疾患の患者の選定を行う。 また、統合失調症患者群の年齢に合わせるように、健常対象者を選定するかデータを追加するなどして解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
患者及び健常者群の年齢などの背景に差がないかを確認した上で結果をとりまとめ、成果を学会発表し論文化する予定であったが、健常者群と患者群において、患者群に予期せず年齢のばらつきが大きく、健常者群と年齢において差がみられた。そのため年齢をマッチさせ評価を実施するには、さらにデータ数を増やす必要性が生じたが被験者獲得出来なかったため、そのデータ取得を次年度行う必要性が生じ未使用額が生じた。 また脳波データの中で、アーティファクトの混入が多く、解析不能である症例があるため。 脳波データのアーティファクト処理および新たにデータの管理解析するために電算機および記録媒体を購入予定であったが、データ数がそろわないため未購入であり、次年度データがそろう目処がたち次第購入する予定である。 また症例を追加しての解析と学会発表および論文化を次年度に行うこととし、未使用額は成果発表用の旅費および外国論文の校閲および投稿料等に研究費を使用する予定であり、それに伴う費用を繰越とし、その経費に充てることとしたい。
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