研究課題/領域番号 |
23659561
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 勝昭 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (00285040)
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研究分担者 |
新村 千江 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 技術補佐員 (30529467)
岩田 圭子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (30415088)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | うつ病 / バイオマーカー / リポ蛋白受容体 / 早期診断 / ApoER2 / mRNA |
研究概要 |
本研究の目的は、末梢血リンパ球におけるアポリポプロテインE (ApoE) を認識する受容体ApoER2の発現量が、その後のうつ病発症を予測できるか否かを明らかにし、末梢バイオマーカーによるうつ病発症リスク検出のための新規スクリーニング法を開発することにある。平成23年度は、浜松医科大学附属病院肝臓内科において、インターフェロン療法への導入が検討されるC型肝炎患者を対象に、研究の目的と方法、予想される結果について書面を用いて説明し研究への協力を求めた。しかし、平成24年3月末の時点でも患者本人から同意が得られたケースがなく、残念ながらリクルートには成功していない。 患者のリクルートと並行して、ApoER2, VLDLR, LDL-Rの各分子のTaqManプローブを作製した。あわせて、ApoER2に関連する他の末梢バイオマーカーによる検索を進めた。その過程において、ApoER2と同様に脳内の神経幹細胞・前駆細胞の機能に与る分子である白血病抑制因子(LIF)と繊毛神経栄養因子(CNTF)、およびその受容体であるLIF-Rに着目した。その結果、これら分子のうちLIFとCNTFはそうではないが、LIF-RのmRNA発現がうつ状態にあるうつ病患者のリンパ球で低下していた。この低下は、しかし、うつ状態の改善とともに正常範囲に戻ることが分かった。興味深いことに、このLIF-Rは、比較として用いた統合失調症患者において、うつ病患者よりもさらに有意に低下していた。この所見をもとに、LIF-Rのノックアウトマウスの行動解析を行ったところ、この動物では統合失調症に類似の特徴、すなわち多動とドパミン作動薬への反応亢進が認められた。これらの結果は J Brain Sci誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究へのボランティアのリクルートが進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究にとって、被検者ボランティアの協力は必要不可欠である。引き続き、ボランティアを募るとともに、スクリーニング法の精度向上のための研究開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象者が得られ次第、空腹時にEDTA採血管に静脈血20 mlを採取し,すみやかにFicoll/Paque濃度勾配法によりリンパ球を含む分画を抽出し,総RNAを調整する。リポ蛋白受容体であるApoER2, VLDLR, LDL-Rの各分子のTaqManプローブ(作製済み)とABI PRISM 7700を用いたReal time RT-PCR法によりmRNA発現量を定量する。
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