研究課題/領域番号 |
23659570
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
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研究分担者 |
前川 素子 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (50435731)
豊島 学 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 基礎科学特別研究員 (90582750)
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キーワード | 統合失調症 / 22q11.2欠乏症候群 / iPS細胞 / DGCR8 / miRNA |
研究概要 |
統合失調症は一旦発症すると完治が困難であるため、発症機序解明と発症予防開発が疾患研究にとって重要な目標と言える。統合失調症の原因については、種々の状況証拠から神経発達障害仮説が、遺伝子研究では22q11.2との関係が古くから知られているが、決定的な発症機序解明には至っていない。本研究では、統合失調症を合併した22q11.2欠失症候群患者様について、1) ゲノム欠失領域をCGHアレイを用いて決定する、2) 健常者および患者様由来iPS細胞を用いてトランスクリプトーム解析を行い、mRNA, miRNAの発現制御異常の観点から、神経細胞への分化・発達に与える影響を明らかにすることを目的とした。対象の22q11.2欠失と統合失調症を合併した2人の方は、一方の染色体の22q11.2領域に2.6 Mbの欠失があることが確認できた。この2人の方からは、iPS細胞の樹立が成功し、かつそれらを神経幹細胞塊(NS: neurosphere)へ分化させることができた。さらに、NSを神経細胞まで分化させることに成功した。対照群としては、精神疾患の既往歴のない2人からiPS細胞を樹立した。疾患サンプル同様、それらをNS—神経細胞へと分化させることができた。解析はNSの段階で行った。cNDAマイクロアレイ解析をしたところ、DGCR8というmiRNAのプロセッシングに関与する遺伝子の発現が患者サンプルで低下していたので、miRNAの網羅的解析を行ったところ、NSから神経系の細胞分化に必要なmiRNAの発現に異常が認められた。
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