研究課題/領域番号 |
23659574
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
玉木 長良 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30171888)
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研究分担者 |
服部 直也 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (30568499)
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30435961)
西嶋 剣一 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60364254)
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キーワード | MIBG / 交感神経機能 / 受容体機能 |
研究概要 |
本研究ではMIBGによる交感神経機能指標と、PET検査で得られる節前・節後交感神経機能指標と対比することで、MIBGで得られる機能情報の意義の理解を深め、より優れた定量的指標を求めることを目的とした研究である。 この目的にC-11標識hydroxyephedrine(HED)の合成を、北大病院に設置されたサイクロトロンと合成装置を用いて行い、昨年は薬剤の純度と安全性を確認し、院内自主臨床試験委員会で承認を得て、臨床を開始した。 健常例10例での検討ではHEDの心筋集積は高く、その左室心筋内集積は均一であった。また心不全例では下壁を中心に側壁にかけての集積が低下していた。これはMIBGで得られた心筋局所集積の所見とよく一致していた。ただMIBGで得られる下壁の集積低下は一部横隔膜による吸収の影響を受けていることも確認でき、MIBGの検査の際に腹臥位撮像をすることで、横隔膜の位置を下げ、吸収の影響を低減させることでHEDに類似した心筋局所の所見が得られることも確認できた。(この成果は2012年の米国核医学会で口演発表した。) HEDの心筋集積の定量的指標として、投与から40分までの動脈内濃度を分母とし、30-40分後の心筋集積の割合を分子としたRetention index(RI)を算出した。これまで行った健常8例および心不全4例での検討では、RIは心不全例で健常例に比べて約半分程度まで有意に低下することが確認できた。また同時に施行したMIBGで得られた心筋・縦隔比(H/M)も同様に有意に低下していた。また両者の指標には有意な正の相関が得られた。 これらの対比を詳細に進めることで、HEDを用いた定量性の高い心筋交感神経機能評価法の確立と、従来から広く臨床の場で利用されてきたMIBG検査法の妥当性、限界、および解析法の改善についても一定の成果が得られた。
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