研究課題/領域番号 |
23659582
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 教授 (20209399)
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研究分担者 |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
堺 俊博 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 研究員 (40585098)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 放射線内用療法 / がん / 放射性医薬品 / イメージング / 分子標的薬 |
研究概要 |
本研究は近年盛んに研究が進んでいる分子標的治療薬のがん特異性を、低分子放射線内用療法薬の薬物送達機構に適用し、同時にイメージング核種で標識することで、治療前に治療効果予測を行いながら、放射線治療を可能とする薬剤開発を行うという試みである。また、治療開始前にイメージングにより対象患者を選択することが可能であり、患者個々人の腫瘍の性質に応じて適用の可否を決定可能であることから、テーラーメード医療としても有用性が高いものと期待される。分子標的を対象とした内用放射線療法治療薬は存在しないため、今年度はその概念の確からしさ(POC)の確認を行うこととした。まず、EGFR-TKを分子標的とするイメージング剤として開発しているPYKを用いることとし、インビトロ実験系における治療効果の確認を行うため、内用療法剤として有用な放射性核種であるI-131を用いて、I-123/5の場合と同様の方法でI-131標識を行うための反応条件検討を行うこととした。同じヨウ素元素ではあるが、I-131は高エネルギーβ線を放出することから化合物の放射線分解などが予想されるため、品質試験に必要な条件設定を行い、確立することができた。また、腫瘍細胞系として、イレッサ感受性があるEGFR-TK変異型を有するがん細胞と感受性の無いがん細胞を数種類ずつ用意し、細胞培養系にてI-125-PYKを用いて集積性を評価し、I-131標識体を用いた場合の抗腫瘍効果を推定した。また、現在用いているPYKは標的部位ではない他の臓器からの放射能集積クリアランスが遅いなど問題点が指摘されており、PYKの更なる誘導体化を行い、その合成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
I-131は高エネルギーベータ線放出核種であるため、その利用には慎重さが要求されるが、PYKのI-131標識体を得るための実験準備に予想外に時間が掛かったため。しかしながら、現在可能となったので、標識検討を行っている。また、現在腫瘍細胞系を用いた細胞殺傷効果について検討を行っているところであるが、予定した細胞種について現在検討が進行中であるため。また、誘導体化についてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
23年度のインビトロ評価の結果を踏まえて、効果の高い細胞種を用いてヌードマウスにがん細胞を移植し腫瘍モデルを作成する。I-125標識体の体内動態試験を行い、その集積量から治療効果発現に必要なI-131投与量について計算し、I-131標識体によるインビボ治療効果を検討する。また、PYKの誘導体化を継続して推進し、得られた化合物について、I-125標識体の合成、体内動態の検討等を行い、その内用療法薬としての有効性について評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にインビトロ腫瘍細胞実験系に必要な消耗品類、インビボ腫瘍移植動物作成に必要な動物購入費用、I-131標識のための放射性同位元素購入費用、化合物新規開発のための試薬・実験器具類の購入費用等、消耗品類に使用する。また、学会発表、情報収集のための旅費に主に使用する。その他、実験補助員謝金、論文校正費用等の出費を見込んでいる。
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