研究課題
1)悪玉のアディポカイン(PAI-1やレジスチン)遺伝子転写調節領域/ルシフェラーゼレポーターを保持した培養脂肪細胞の安定発現株の取得PAI-1遺伝子、レジスチン遺伝子の転写調節領域/ルシフェラーゼレポーターベクターを前駆脂肪細胞3T3-L1細胞に導入し、ピューロマイシン耐性株を作成した。さらにこの中から脂肪細胞への分化能を保持し、かつ脂肪細胞分化によって発現増強する安定発現株をルシフェラーゼアッセイよってスクリーニングし安定発現株を取得した。これらの安定発現株について脂肪細胞分化経過に伴いルシフェラーゼレポーター遺伝子が発現増強する事を確認した。2)生理機能の異なる皮下脂肪組織と内臓脂肪組織への部位特異的移植によるin vivo イメージング画像の定量性とmRNA発現量との相関、各脂肪組織での質的変化の検証定量解析するのに十分なシグナル量と移植細胞数との関係を調べるために、移植する安定発現株細胞の数を0、10^3、10^4、10^5、10^6 cellsと5段階に振り、またコントロール細胞株を同数移植し、In vivo光イメージング画像解析装置IVIS 200を用いて定量的に解析した。移植5日後ヌードマウスを麻酔し、ルシフェリン(150mg/kg)を腹腔内投与5分後の光イメージ像を30秒間撮像した。105細胞数でも定量に充分なシグナルが得られたが、10^6細胞数で安定なシグナル強度を得た。 次にこの細胞を106細胞ヌードマウスの腹部の皮下脂肪および腹腔内内臓脂肪に移植し、5日後、3ヶ月後の発光シグナルの定量の検討を行なった。5日後では定量的な解析が十分な範囲で行うことが出来たが、3ヶ月後にはレポーター・ルシフェラーゼの発現が減弱し個体差もあった。以上のことからレポーター遺伝子安定発現株の移植による系は、メタボ発症のような長期に渉る観察には不向きである事が示唆された。
3: やや遅れている
研究代表者井原がH23年4月に浜松医科大学から和歌山県立医科大学に移籍したため、浜松医大保有の光イメージング、PETイメージング装置が常時使えなくなった。訪問研究員として浜松医大に出張して研究を行っているが、イメージング装置を用いた研究のための十分な時間が得られていない。
次年度は、今年度の光イメージング法による遺伝子発現解析をさらに進めると伴に、レポーター遺伝子トランスジェニックマウスの作成と長期間にわたるイメージング解析の可能性について検討したい。また、HSV-TKレポーター/18-FHGBプローブの系を用いたPETイメージングにも挑戦したい。
レポーター遺伝子トランスジェニックマウスの作成と、PETイメージングのためのサイクロトロン運転費などの経費を中心に研究費を使用する予定である。
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ONCOLOGY LETTERS
巻: 2 ページ: 283-288
和歌山医学
巻: 62 ページ: 167