研究概要 |
24年度はソフト面、ハード面双方から、1H検出13C-MRスペクトロスコピー法による代謝画像の高速・高感度検出に取り組んだ。 パルスプログラムについては、多量子遷移(HMQC)とエコープラナーイメージング(EPI)を組み合わせた1H検出13C-HMQC-EPSIの撮像プログラムについて改良を加えた。また、従来からの1H検出13C-HMQC-CSI(ケミカルシフトイメージング)については、64ステップの位相エンコードを4隅を除いた44ステップに圧縮し、ほぼ2/3の観測時間で同様の解像度が得られるように改良するとともに、このデータを処理するプログラムも作製した。 RFコイルについては、昨年度製作した1H, 13C二重同調容積コイルでは、高い均一磁場の実現が難しく、EPSIには不利であった。先ずは、均一磁場と均一なRFパルスを両立できる、内径11cmの傾斜磁場コイル用の現有のTR制御による1H送受信コイルに、13C表面コイルを組み合わせて検討を行った。しかし、このコイルでは、EPSIによる高感度化は期待通りに達成されず、ラット脳での13C化合物の画像化には至らなかった。やはり高感度イメージングには当初計画した内径6cmの高性能傾斜磁場コイルとそこで使用可能なTR制御の1H送受信コイルと、13C表面コイルが必要との結論に至った。昨年度から、TR制御装置を用いた小型のコイル作りに1年間取り組んできたが完成に至らなかったため、今年度当初に研究費のほとんどを投入して、1H送受信コイルを外注することに決め、これに自作の13C表面コイルを組み合わせて実験を進めた。その結果、正常マウスにおいて、外部から投与した13C-グルコースから代謝されて生成する脳内13Cグルタミン酸・グルタミンの画像化に成功した。
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