研究課題
H-C-C三重共鳴MRI法の開発高分解能溶液NMR専用装置(Bruker DRX500)を使い、1H-13CA-13COの三重共鳴MRIを試みた。蛋白質主鎖帰属用のパルスシークエンスの一つであるHCACOを基にMRIで用いられる位相エンコード等を組み込んだパルスプログラムを作成した。MRI測定や画像処理には専用のソフトウェアParavisionを用いた。13Cアラニンの水溶液をファントムとして測定したところ、画像を得ることに成功した。続いて、担癌マウスに13Cグルコースを尾静脈注射した後、腫瘍部位を摘出し画像化を試みた。腫瘍細胞中ではグルコースは主として乳酸へと代謝される。そこで、13C乳酸選択的な三重共鳴MRIを行ったところ、信号は弱いながらも乳酸の分布を画像化することに成功した。続いて、動物用のMRI装置での実施を試みた。なお、三重共鳴NMRではシークエンス中に多数のパルスを照射する必要がある。高分解能用の装置では、検出コイルを始めとするハードウェアが、それに対応すべくチューンされているため問題ないが、動物用MRI装置では、本来、そのような測定は想定されていない。DRX500用に作成したパルスプログラムを、動物用MRI装置に移植し、13C標識アラニン水溶液をファントムとして用い検討した。その結果、良好な一次元のHCACOスペクトルの取得に成功した。スペクトルのシグナル対ノイズ比から考えて、少なくともファントムでの画像化は可能であると予想される。H-C二重共鳴MRI法の開発三重共鳴ほど分子選択性は高くないが、より高感度な1H-13C HMQC-MRI法を活用すべく、新たな13C標識分子プローブを開発した。当該分子は、13Cで標識した単量体分子の繰り返しからなる合成高分子で、腫瘍部位に集積することが知られている。これを担癌マウスに注射し、HMQC-MRIによって撮像したところ、腫瘍部位への分子プローブの集積を画像化することに成功した。
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