研究課題
本学では、平成24年度に、放射性同位元素センター内に、小動物用PET/SPECT/CT を設置したP2(BSL2),P3(BSL3)施設が設置され、本邦初の感染症のin vivo イメージングが可能な本格的な研究環境が整備された。そこで、我々のこれまでの研究の経験を基に、感染症の中でも、世界的には最も重要なマラリア感染症のin vivoイメージング技術の開発に着手した。分子プローブの設計合成:(1)マラリア原虫のギムザ染色に用いられるメチレンブルー及びエオシン (2)抗マラリア薬、(3)アミロイドに親和性を示す化合物、を基本骨格とする in vivo イメージング薬剤の開発を当初計画したが、(1)のメチレンブルー等は、骨格自体が荷電を有しており、細胞膜等の透過性に難点が生じること等から、(2)と(3)のアプローチから進めることとした。○抗マラリア薬を基本構造とする分子プローブ群の合成:①抗マラリア薬キナクリンの放射性ヨウ素標識体の合成,②キナクリンの基本骨格であるアクリジン誘導体とその放射性ヨウ素標識体の合成○アミロイドに親和性を示す分子プローブ群の選別:スチリルクロモン誘導体とその放射性ヨウ素標識体の合成分子プローブの投与方法マラリア原虫は,血液もしくは赤血球から取り出すと生存できないため、現在、原虫を体外で直接標識する方法は断念したが、感染動物を作成後、各ステージで分子プローブを投与し、分子プローブの体内挙動を調べることとした。放射性ヨウ素標識キナクリンは、肺への集積が著しく高い結果となり、キナクリン自体の適用は困難で有ると判断したが、一連のアクリジン化合物やスチリルクロモンの標識体においては、置換基の種類や導入位置の違いによって、その体内動態は大きく変化した。今後、さらに最適な動態を示す化合物の設計と、in vitroでの赤血球標識法の検討の必要がある。
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Metallomics
巻: 2013 ページ: 479-483
10.1039/c3mt00035d
PLOS ONE
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