研究課題/領域番号 |
23659595
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岸 和史 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (70254547)
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研究分担者 |
澤田 貴宏 和歌山県立医科大学, 付置研究所, 助教 (00382325)
坂口 和成 和歌山県立医科大学, 付置研究所, 教授 (60178548)
佐藤 守男 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50154109)
千葉 尭弘 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (60597079)
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キーワード | Hyaluronate / Spacer / Migration Assay / Prostate cancer / Esophageal Cancer / Breast Cancer / SubQ |
研究概要 |
1.実験.低分子5kDa、高分子量2MDa,超高分子量9MDaの天然型のヒアルロン酸(HA)および架橋型HA(SubQ)の暴露後のヒト繊維芽細胞を使ったウェルアッセイプレート遊走実験では、高分子量2,9MDaおよび架橋型のいずれにおいても、遊走促進が強く認められた。低分子5kDaでは遊走はもっとも弱かった。高分子量群間では、やや2MDa>9MDaの傾向が見られ、それらは>>SubQ9であった。遊走は暴露8時間から活発になり12時間でウェル内を埋め尽くした。4時間では遊走も細胞間の乖離も見られず、6-8時間で乖離が認められた。これらより、HA暴露→乖離:細胞間の接着分子の吸収・代謝による消失による乖離(要確認)→遊走:遊走を可能にするactinなど細胞骨格の誘導(要確認)と運動の発現が、時系列を追って生じていると推測できた。繊維芽細胞でのこれらの基本的な特徴は腫瘍細胞でも程度の大小こそあれ同様と考えられる(追試験必要)。放射線治療を行う場合、臨床的な現状で、小線源を使った一回照射であれば、HA注入から長くとも4時間以内に照射が終了するので、この遊走のメカニズムの発現が発生する前に腫瘍には大量の照射が終了しているために、細胞遊走は発現しない可能性が高い。一方、分割照射の場合は、一回の照射での殺細胞作用には限界があり、HA暴露が遊走を発現させた場合、生残腫瘍細胞の播種を促進する可能性が考えられる。よって分割照射ではHAと腫瘍細胞の接触は回避すべきで、HA注入の方法や部位の(遊走させない)許容範囲は、一回小線源治療と分割照射では異なる可能性があることが示唆された。 2.臨床報告。複数例で食道がんのリンパ節再発などに対するHA注入を用いた臨床試験で合併症のない治癒を得た等の新しい臨床成績を、英文にて報告した。(2012年度末で計15
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.前臨床試験の用意に躓いた:4ヶ月以上前から動物飼育を開始する必要があり、ベンダーと研究室と予算年度の仕切りにずれができて実験が実施できなかった。 2.臨床成果は多数発表できた。 3.細胞遊走試験はスタッフ・実験環境の変化のために、腫瘍細胞を用いたものができなかった。 4.臨床試験開始のめどが立った。 5.細胞遊走試験を依頼できる環境になった(北斗病院腫瘍医学研究所研究所)。 6.粒子線治療施設での研修・研究を開始することになった。
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今後の研究の推進方策 |
今暦年度中に1.4ヶ月以上前の動物飼育を開始し、ベンダーと研究室と予算年度の仕切りにずれができないように調整する。実験は1週間でHA注入およびその後数日の動態を観測する。2.小線源治療を用いた臨床成果を引く続き発表する。3.腫瘍細胞を用いた細胞遊走試験を北斗病院腫瘍医学研究所研究所で行う。4.前立腺がんのTomotherapyによるIMRT・IGRTにSubQを用いた臨床試験を開始する。5.粒子線治療施設(兵庫県)での研修申請が受理されたため、同施設でHAによる細胞遊走と粒子線(炭素線、陽子線、ほか)との関係の研究に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費が小額なために、1.論文投稿費用(英文チェックと雑誌投稿料支払い)2.会議費(臨床試験会議費・基礎試験会議費)および旅費、3.実験用薬品類 に使用する。なお、動物などの高額な分は、他から追加する。
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