研究課題
本研究の目的は進行期子宮頸癌の放射線治療抵抗性におけるエピジェネティク異常を解明することで、治療戦略の糸口を探り、この疾患の放射線治療成績の向上を目指すことである。本年度はエピジェネティク異常の観点からIIIB期子宮頸部扁平上皮癌の抗癌剤併用放射線治療後の予後予測因子としてのmiRNAを検討した。2006年2月~2009年8月までに抗癌剤併用放射線治療を施行したIIIB期子宮頸部扁平上皮癌14例を対象とし、無再発生存 (no evidence of disease; NED) 群8例と原病死 (cancer-caused death; CD) 群6例の2群に分けて検討した観察期間はNED群が52.3ヶ月、CD群は14.9ヶ月であった。CD群は局所再発1例を除き、5例は局所再発と遠隔転移を認めた。治療前の生検癌組織におけるmiRNA の発現レベルをTaqMan real-time PCR arrayを用いて比較した。939個のmiRNAsのうち、クラスター解析で255個の miRNAs を抽出し、Mann-Whitney U test で2群間の有意差を検定した。その結果、NED群における発現がCD群よりも有意に高かったのはmiR-200a (p=0.013)、miR-200b* (p=0.018)、miR-452 (p=0.024)であった。反対にCD群がNED群よりも有意に高かったのはmiR-484 (p=0.038)、hcmv-miR-UL70-3p (p=0.043) であった。とくに、miR-200aはE-cadherinに関与し、子宮頸癌の転移を抑制すると報告されている。我々の検討でもmiR-200a がNED群に有意に高く発現したことから、遠隔転移を抑制している可能性が考えられ、進行期子宮頸癌の抗癌剤併用放射線治療後の予後予測因子として有用であると考えられた。
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Radiology Research and Practice
巻: 6
doi:10.1155/2012/571571
Jpn J Intervent Radiol
巻: 27 ページ: 398-405