研究課題/領域番号 |
23659599
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
四ノ宮 成祥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (40505260)
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研究分担者 |
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (10449069)
青木 伊知男 独立行政法人放射線医学総合研究所, その他部局等, その他 (10319519)
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キーワード | 樹状細胞 / MRイメージング / がん / 造影剤 |
研究概要 |
治療用細胞の体内動態を、安全、且つ高感度に検出して解析する手法の有力な候補の一つにMR画像法が挙げられる。現状では、肝臓造影剤として用いられている超常磁性酸化鉄微粒子(SPIO)を中心に、造影剤標識細胞のin vivo イメージングの可能性が検討されている。しかしながら現時点では、ヒトにおいて細胞をイメージング・追跡するのに十分な感度に達しておらず、臨床応用に至っていない。 本研究では、癌を対象とした免疫細胞療法において、腫瘍抗原特異的な免疫応答を誘導するために生体内に投与される樹状細胞を研究対象とし、当該細胞を標識する新たな造影剤の開発を行いながら、造影剤を標識した樹状細胞の体内分布をMRIで非侵襲的に解析するための方法論を確立することを目的とする。 初年度では、新たな造影剤素材として塩化マンガンに着目して、対照として既存のSPIO製剤を用い、樹状細胞を効率的に標識する手法を確立することを目的としてその技術的検討を行った。しかしながら、SPIOが少なくとも標識後数日間程度細胞内に保持されていたのに対して、塩化マンガンの場合、標識18時間後の細胞内マンガンイオン量は激減しており、細胞内にマンガン分子を長期間滞留させるための何らかの製剤的な工夫が必要であることが確認された。そこで今年度(二年目)において、マンガン分子とデキストランの生分解性担体を結合させた新たなマンガン造影剤((デキストランマンガン)を開発し、樹状細胞内での滞留性につきMRIでの予備検討を行った。その結果、濃度依存的に樹状細胞がマンガンで標識されていることが確認された。一方、標識時の血清の存在が細胞内マンガン濃度を低下させることも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究概要で示したように、塩化マンガンの場合、細胞内にマンガン分子を長期間滞留させるための何らかの製剤的な工夫が必要であることがわかった。そこで初年度(H23年度)計画で示した通り、マンガン造影剤を樹状細胞に効率的に取り込ませるために、レクチンが認識するデキストランを用いたマンガン化合物(デキストランマンガン)を合成することができた。現在までに、樹状細胞の標識化に成功し、次年度計画で示した、マウスを用いた体内動態の評価のためのMRイメージングによる可視化の検討に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
新規マンガン造影剤(デキストランマンガン)とSPIOを用いて樹状細胞を標識し、マウスに皮内投与したのちに、高磁場(7T)MRIを用いて、標識樹状細胞の生体内分布を可視化する撮像技術の確立を目指す。そして検出感度や撮像条件の点で、既存造影剤であるSPIOとの比較において、 新規造影剤を用いたMRイメージングの有用性を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費はおもに、実験を行うのに必要なMRI造影剤、培養関連消耗品、生化学試薬、実験動物、免疫染色用抗体、ディスポーザブル製品の購入にあてる。動物実験の計画としては、NOD-SCIDマウスを使用する実験を進めていく予定である。 その他の費用としては、研究に関する打ち合わせを行うための会議費、学会参加費、成果報告のための印刷費、得られた成果を国際一流誌に投稿するための外国語論文の校閲の費用および投稿料などへの支弁も予定している。
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