研究課題
本研究では、癌を対象とした免疫細胞療法において、腫瘍抗原特異的な免疫応答を誘導するために生体内に投与される樹状細胞(DC)を研究対象とし、当該細胞を標識する新たな造影剤の開発を行いながら、造影剤を標識したDCの体内分布をMRIで非侵襲的に解析するための方法論を確立することを目的とする。初年度では、新たな造影剤素材として塩化マンガンに着目して、対照として既存のSPIO製剤を用い、DCを効率的に標識する手法を確立することを目的としてその技術的検討を行った。しかしながら、SPIOが少なくとも標識後数日間程度細胞内に保持されていたのに対して、塩化マンガンの場合、標識18時間後の細胞内マンガンイオン量は激減しており、細胞内にマンガン分子を長期間滞留させるための何らかの製剤的な工夫が必要であることが確認された。そこで第二年度において、マンガン分子とデキストランの生分解性担体を結合させた新たなマンガン造影剤(デキストランマンガン)を開発し、DC内での滞留性につきMRIでの予備検討を行った。その結果、濃度依存的にDCがマンガンで標識されていることが確認された。一方、標識時の血清の存在が細胞内マンガン濃度を低下させることも確認された。最終年度では、デキストランマンガン標識DCのin vivoでのリンパ節への集積および標識能を評価したところ、MRIでマンガンのシグナルを検出することができなかった。そこであらたにデキストランにガドリニウム(Gd)をキレート結合させた化合物(dex-Gd)を合成してDCに取り込ませてマウスへの投与した。その結果、dex-Gd標識DCを投与した側の膝下リンパ節で、Gd集積によると思われるシグナルが確認された。以上の結果は、dex-Gdを標識したDCの足蹠から膝下リンパ節への遊走をMRIでのT1強調画像にて検出できる可能性を示唆した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Neurosurgery
巻: 72(1) ページ: 33-41
Photochem Photobiol
巻: 89(3) ページ: 679-82
10.1111/php.12040