研究概要 |
放射線感受性の異なる細胞群を液体培地上で培養後、それぞれの細胞群に低線量のγ線を照射後、一定期間インキュベートした。それぞれの細胞群の非照射群と照射群の生存曲線を作成。また、それぞれにつき、細胞を1,000,000個取り出し、照射前後の細胞抽出液からmiRNAを抽出した。そして、各miRNAの発現量についてリアルタイムPCR法を用いて比較したところ、放射線高感受性細胞群においては、γ線照射後hsa-let-7g遺伝子を始め8種のmiRNA遺伝子が照射前に比べて有意に発現量が増加し、また、hsa-miR-324-5p遺伝子を始め14種のmiRNA遺伝子が照射前に比べて有意に発現量が減少していた。 一方、放射線低感受性細胞群においては、γ線照射後hsa-miR-155遺伝子を始め10種のmiRNA遺伝子が照射前に比べて有意に発現量が増加し、また、hsa-miR-527遺伝子のみが照射前に比べて有意に発現量が減少した。 よって、hsa-let-7g遺伝子やhsa-miR-527遺伝子は放射線感受性を増加させるmiRNAと考えられ、その一方、hsa-miR-324-5p遺伝子やhsa-miR-155遺伝子は放射線感受性を低下させるmiRNAと考えられる。 次に、上記放射線感受性に関する考えられるmiRNAに対する強制発現試薬を合成。siRNA用トランスフェクション試薬を用いてこれら試薬をHeLa細胞に24 well plate中でトランスフェクションした。トランスフェクション72時間後にγ線を照射し細胞群の放射線誘発アポトーシスの確認を行ったところ、残念ながらhsa-let-7g遺伝子やhsa-miR-527遺伝子を強制発現させた系、及びhsa-miR-324-5p遺伝子やhsa-miR-155遺伝子を強制発現させた系のいずれも放射線誘発アポトーシスの発現に有意な差は得られなかった。
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